部屋に飾ってある写真立てが、最近やたらと倒れる。
不安定な場所に置いているわけでもないし、風が強く吹き込む窓の近くでもない。なのに、気づくと倒れているのだ。
その写真立てには、亡くなった祖母との写真が飾ってある。祖母が他界してから数年が経ち、その写真は家族の大切な思い出の一部だった。
最初は気にしていなかったが、毎日のように倒れるようになると、さすがに気味が悪くなってきた。
「何でだろう?」
僕は不思議に思いながら写真立てを直し、少しずつその意味を考え始めた。
目次
おばあちゃんの部屋の片付け
そんなある日、母から連絡があった。
「そろそろおばあちゃんの部屋、片付けようかと思ってね。」
祖母が住んでいた家は、しばらく空き家になっていた。僕も久しぶりに訪れ、片付けを手伝うことにした。
部屋には祖母が使っていた家具や愛用の小物がそのまま残されていた。
片付けを進めるうちに、古い引き出しの中から一冊のアルバムが見つかった。
写真立てとのつながり
アルバムの中をめくっていると、ある一枚の写真に目が留まった。
そこには、僕が飾っていた写真と同じ日に撮られた、別アングルの写真が収められていた。
そして、その写真には祖母が持っていたある物がはっきりと写っていた。
それは、祖母が生前大切にしていた古いブローチだった。
「あれ……これ、どこかで見たことが……」
記憶をたどりながら部屋の中を探していると、そのブローチがタンスの奥にしまわれているのを発見した。
写真立てが倒れる理由
ブローチを手に取り、そっと撫でながら写真立てのことを思い出した。
「もしかして……」
祖母が、ずっとこのブローチのことを伝えたかったのではないか。
写真立てが倒れるたびに、祖母が僕に何かを知らせようとしていたのではないか――そんな気がしてきた。
祖母からのメッセージ
僕はブローチを持ち帰り、写真立ての隣に置くことにした。
その日から、不思議なことに写真立てが倒れることはなくなった。
「おばあちゃん、ありがとう。」
心の中でそうつぶやくと、自然と温かい気持ちが込み上げてきた。
小さな奇跡
写真立てが倒れる理由なんて、本当のところは分からない。
でも、あの時祖母が僕にメッセージを伝えたかったのだと、僕は信じている。
いま、そのブローチと写真立ては部屋の中で穏やかに並んでいる。毎朝それを見るたび、祖母の温かい笑顔を思い出す。
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