目次
奇妙な噂
カオリの住む街に新しい公園ができたのは、半年前のことだった。緑に囲まれた遊具付きの広場で、家族連れが憩うにはぴったりの場所。オープン当初は多くの人々で賑わっていた。
しかし、数か月も経たないうちに、その公園には誰も近寄らなくなった。
「なんだかあの公園、不気味よね。」
「鳥の声も聞こえないし、植物も枯れてるって。」
住民たちの間でそんな噂が広まり、公園は閑散としていった。
公園への訪問
噂話を聞いたカオリは、どうしてもその公園の真相を確かめたくなった。好奇心が強い性格の彼女は、昼下がりにその公園を訪れることにした。
公園の入口に立つと、まず感じたのは異様な静けさだった。風に揺れる木々の音はあるが、確かに鳥のさえずりは一切聞こえない。
公園内に足を踏み入れると、さらに奇妙なことに気づいた。植えられたばかりの木々や芝生が、まるで何年も放置されたかのように枯れ果てているのだ。
不気味な現象
カオリは公園内を歩き回りながら、違和感を覚えた。滑り台やブランコは新品のように綺麗だが、植物だけが完全に枯れ果てている。
ふと視線を感じ、周囲を見回したが、誰もいない。
「気のせい……かな。」
しかし、歩みを進めるたびに、その感覚は強くなっていった。
公園の中心にあるベンチに近づくと、突然足元に冷たい風が吹き抜けた。真夏の昼間にもかかわらず、氷のような冷たさにカオリは身震いした。
過去の秘密
公園の中心には、古びた石碑が立っていた。何か文字が刻まれているが、苔が生えていて読むことができない。
カオリはスマホで石碑を撮影し、その画像を地元の歴史に詳しい友人に送った。すると、友人から驚くべき返信があった。
「その場所、昔は小さな神社があったらしい。でも取り壊されて、公園になったんだって。」
さらに、神社が取り壊される際に「祟りを恐れて反対した住民がいた」という話も聞かされた。
その夜の夢
その日の夜、カオリは奇妙な夢を見た。
夢の中で、彼女は公園の中を歩いていた。そこには誰もいないはずなのに、遠くのブランコがひとりでに揺れている。耳を澄ますと、何かの囁き声が聞こえてきた。
「……ここを返せ……。」
目が覚めた時、彼女は冷や汗でびっしょりだった。
公園の姿
翌日、カオリは再び公園を訪れた。前日の夢が気になっていたが、昼間の公園はやはり静まり返っている。
彼女は石碑の前に立ち、そっと手を合わせた。
「ここにあった神社のことを、知らなくてごめんなさい。」
風がそっと吹き、遠くで一羽の鳥が鳴いたような気がした。
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