出張で地方の町を訪れたとき、忘れられない奇妙な体験をしました。
それは、2泊3日の滞在初日のこと。夕方に現地に到着し、チェックインを済ませた後、夕飯を求めて街に出たんです。
目次
雨の中の路地
ホテルを出た時は晴れていた空が、急に大雨になりました。
傘を持っていなかった私は、雨宿りをしようと近くの商店街へ向かいました。その途中、小さな路地を見つけたんです。
なぜかその路地に妙に惹かれてしまい、商店街を目指すのをやめて路地へ足を踏み入れました。
異国のような街並み
路地を抜けると、そこはまるで異国のような不思議な街並みが広がっていました。
石畳の道に、カラフルな建物が並び、見たこともない文字が看板に書かれていました。異国情緒溢れるその光景に驚きつつも、私は目の前にあった洋食屋に入りました。
不思議な洋食屋
その洋食屋の店員は、外国人のようでした。日本語がまったく通じず、英語も通じない様子でしたが、メニューを指さして何とか注文しました。
しばらくして運ばれてきた料理は、見たこともない独特な見た目と香り。そして味はというと……驚くほど美味しかったんです。
初めて食べたはずなのに、どこか懐かしい味がしました。
食べ終わって支払いをしようとすると、店員は戸惑った様子。とりあえず紙幣を差し出し、足りるか確認しました。店員は少し考えた後、笑顔で受け取りました。
「ありがとう」という言葉を言ったつもりですが、伝わったのかどうかはわかりませんでした。
翌日、路地が消えた
その夜、ホテルに戻りながら「あの街並みはなんだったんだろう？」と不思議な気持ちで眠りにつきました。
翌日、仕事を終えた私はもう一度あの洋食屋で食べようと決めました。しかし、同じ場所を歩いても、あの路地は見つかりませんでした。
前日歩いた道を何度も確認しましたが、どうしてもたどり着けません。周囲の人に尋ねても「そんな場所は聞いたことがない」と言われるばかり。
あの街の記憶
結局、あの不思議な街には二度と行くことができませんでした。
ただ、あの時食べた料理の味と、街並みの光景は鮮明に覚えています。夢だったと言われてもおかしくないほどの出来事。でも、確かにあの場所で食事をし、路地を通った記憶は現実そのものです。
今でも時々思います。「あの街は一体なんだったのだろう？」と。
もしかすると、私は知らないうちに別の世界へ迷い込んでいたのかもしれません。
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