目次
【プロローグ】
これは、数年前の出張で体験した話です。
その出張は、2泊3日で地方の小さな都市を訪れるものでした。初日は前泊ということで、夕方には現地のホテルに到着。チェックインを済ませ、荷物を部屋に置き、夕飯を食べに街へ出かけることにしました。
その時は晴天だったのに、ホテルを出た瞬間、突然の大雨。傘も持っていなかった私は、足早に商店街を目指して歩き始めました。
【不思議な路地】
商店街へ向かう途中、ふと目に入ったのが小さな路地でした。
なぜか、その路地に強く惹かれるものを感じました。商店街へ行くはずだったのに、気づけば私はその路地に足を踏み入れていました。
路地は細く薄暗かったですが、不思議な静けさがありました。そして路地を抜けた先には――
【異国の街並み】
目の前には、まるで異国のような街並みが広がっていました。
色とりどりの建物が並び、アーチ型の窓や異国風の看板が軒を連ねていました。通りには独特の灯りがともり、雨の中でもその光景はどこか暖かさを感じさせるものでした。
「こんな場所、ガイドブックにも載ってなかったけど…」
驚きつつも、その街の雰囲気に心を奪われた私は、歩き回るうちに一軒の洋食屋を見つけました。
【不思議な洋食屋】
店内に入ると、漂ってきた香りは、今まで嗅いだことのないもの。期待と不安が入り混じる中、私は席に座りました。
カウンターの奥から出てきた店員は、どこか異国風の風貌で、日本語は全く通じませんでした。
身振り手振りとメニューを指さすことで、何とか注文が通り、出てきた料理は――見たこともない形をしていました。
独特な香りに一瞬戸惑いましたが、口に運ぶと、驚くほど美味しかったのです。どんな料理だったのかは今でも説明できませんが、味わい深く、一気に平らげてしまいました。
【支払いの困惑】
食べ終わって支払いをしようとすると、店員はなぜか首をかしげ、不思議そうな表情を浮かべました。
お金を差し出しても、彼は戸惑った様子を見せるばかりでした。仕方がないので、「これで足りる?」とジェスチャーで伝え、「お釣りはいらない」と伝えると、ようやく納得したようでした。
店を出ると、街は雨の中でも静かで美しく輝いていました。私は同じ路地をたどり、ホテルへ戻りました。
【見つからない路地】
翌日、仕事を終えた私は、再びあの街を訪れようとしました。
しかし、どれだけ歩き回っても、あの路地は見つかりませんでした。前日通った場所を何度も往復しましたが、異国の街並みは影も形もありません。
地元の人に尋ねても、「そんな場所は聞いたことがない」と首を振られるばかりでした。
【エピローグ】
結局、2日目も3日目も、あの街にたどり着くことはできませんでした。
あれが現実だったのか、それとも夢だったのか、未だに分かりません。ただ、一つだけ確かなのは――あの不思議な料理の味は、今でも鮮明に思い出せるということです。
もし、旅先でふと惹かれる路地があれば、足を踏み入れてみてください。そこには、あなたがまだ知らない世界が広がっているかもしれません。
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