目次
プロローグ
怖い話は聞くのも語るのも好きだが、自分が体験すると話は別だ。この話は、私が二度と思い出したくない出来事でありながら、なぜか伝えずにはいられないものだ。
誰かが同じ過ちを犯さないように――。
第一章:廃病院の噂
私が大学時代、地元では有名な廃病院があった。山間部にあるその病院は、経営不振で閉鎖されたというが、実際は「院長が失踪したまま戻らなかった」とか、「患者が次々と不審死した」といった不気味な噂が囁かれていた。
学生の間では肝試しスポットとして有名だったが、地元の人は決して近づこうとしなかった。
ある夏の夜、友人の健太が言った。
「お前ら、廃病院の3階の窓の噂知ってるか?」
健太によると、その窓を夜に覗いた者は必ず行方不明になるというのだ。
「でもさ、そんなのただの作り話だろ。怖がらせるための。」
私は半信半疑だったが、その話を聞いたメンバーの中で、興味本位が勝った者がいた。それが私と健太、そしてもう一人の友人、亮介だった。
第二章:廃病院への訪問
深夜2時、私たちは車で廃病院に向かった。到着すると、月明かりに照らされた廃病院は、噂通りの不気味さを放っていた。
割れた窓ガラス、朽ちた壁、そして建物全体に漂う静寂――。
「3階の窓って、どれだろうな。」
健太が指差す先には、夜空にぽっかりと開いた黒い窓枠が見えた。確かに不気味だったが、それ以上に興味が湧いてきた。
「行こうぜ。」
第三章:3階の部屋
病院の中に入ると、空気が一気にひんやりとした。足音が廊下に響き、何かがこちらを見ているような錯覚を覚えた。
私たちは慎重に階段を上り、3階へとたどり着いた。すると、薄暗い廊下の奥に、噂の窓が見えた。
健太が興奮気味に近づく。
「ほら、ここだよ。これが例の窓。」
窓の向こうは真っ暗で、何も見えない。ただ、何かがこちらをじっと見ているような気配だけがした。
「覗いてみろよ、怖くないなら。」
亮介が挑発する。仕方なく私は窓に近づき、そっと外を覗いた――その瞬間だった。
第四章:窓に映る異様な光景
外は何もないはずなのに、窓ガラスには明らかに「何か」が映っていた。
それは、人影のようで人ではない、黒いシルエットのような存在だった。その影は、不気味に歪んだ笑みを浮かべていた。そして次の瞬間、その影が目を見開き、私の方をまっすぐに見つめた。
「逃げろ……!」
背後から健太の叫び声が聞こえた。振り返ると、亮介が窓の前で固まっていた。彼の表情は恐怖に引きつり、目は何かに吸い込まれるように虚空を見つめていた。
第五章:終わらない恐怖
なんとか亮介を引きずりながら廃病院を抜け出し、車に飛び乗った。しかし、亮介は完全に意識を失っていた。
「おい、亮介、大丈夫か!」
声をかけても反応はなく、ただ窓の外をじっと見つめていた。
翌日、亮介は失踪した。警察に届け出ても手がかりは一切見つからず、彼の家族は呆然とするばかりだった。
さらに奇妙なことに、私と健太の部屋にも異変が起き始めた。
夜中になると、窓ガラスに「何か」が映るのだ。それは、廃病院で見たあの影だった。
結末:絶対に忘れられない窓
それ以来、私はカーテンを閉めたまま眠るようになった。それでも、時折カーテン越しに感じる視線が私を眠らせてくれない。
亮介は今も見つかっていない。そして私は、この話を誰にも話すべきではなかったのかもしれないと思っている。
だから、これを読んでいるあなたにだけ言う――。
廃病院の窓は、絶対に覗かないでください。
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