目次
【プロローグ】
ある日、私は仕事の休憩中にスマホをチェックしていた。
特に面白いニュースもなく、SNSをひとしきり眺めた後、ふとメールアプリを開いた。すると、迷惑メールのフォルダに1通だけ新着があった。
普段なら迷惑メールは即座に削除するのだが、その件名に目が止まった。
「あなたの秘密を知っています」
気味が悪いと思いながらも、内容が気になり開いてしまった。
【最初のメール】
メールの本文はこうだった。
「こんにちは。最近、よく眠れていますか?私には、あなたが深夜にどんなことを考えているのか分かりますよ。あなたが時々しているあの癖、直した方がいいかもしれませんね。」
もちろん送り主の名前もメールアドレスも知らないものだった。しかし、不気味だったのは、「深夜に考えていること」という部分だった。
確かに、私は最近、深夜になると仕事のストレスや昔の失敗を思い出して眠れない日が続いていた。
「ただの偶然だよな…」
そう思ってメールを削除した。だが、心のどこかで引っかかるものがあった。
【次のメール】
それから数日後、また迷惑メールが届いた。今度の件名はこうだ。
「昨日の夜、楽しそうでしたね」
本文にはこう書かれていた。
「久しぶりに笑顔が見られて安心しました。あなたがリビングで過ごしていたこと、そして食べていたあのスナック、好きなんですね。」
私は息を呑んだ。確かに前日の夜、仕事の疲れを紛らわそうとリビングでお菓子を食べながら映画を観ていた。その様子を誰かに見られるような状況ではなかったはずだ。
「ただのスパムだ。絶対に偶然の一致だ。」
自分にそう言い聞かせて、またメールを削除した。
【さらにエスカレートする内容】
迷惑メールはそれからも時々届くようになった。内容はどんどん具体的になり、私の日常に妙に一致することが増えていった。
ある日は、私が通勤中にイヤホンで聴いていた曲のタイトルが書かれていた。
「いいセンスですね。その曲、私も好きです。」
別の日は、スマホでネット通販を利用した直後にこんなメールが届いた。
「そのシャツ、きっと似合うと思います。でも、黒よりも青があなたには合いそうですね。」
どれも偶然とは思えない内容だった。
【気づかないうちに見られている?】
次第に私は、誰かに常に監視されているのではないかという気持ちに囚われ始めた。
「カメラをハッキングされているのか?いや、そんな技術が誰にあるっていうんだ?」
部屋のカーテンを閉め、スマホのカメラにシールを貼り、パソコンのウェブカメラも隠した。だが、それでも迷惑メールは届き続けた。
【最も恐ろしいメール】
ある日、メールの件名にこう書かれていた。
「私たちはもうすぐ会えますね。」
本文には、次の日の予定が詳細に書かれていた。
「明日、あなたは10時半に駅前のカフェに行きますね。あそこの席に座ることが多いけど、今日は別の席を選ぶといいかもしれません。」
私は震えた。確かに、次の日はその時間にそのカフェに行く予定だった。そして、いつも決まった席に座るのが習慣になっていた。
結局、その日は恐ろしくて外出をキャンセルした。
【最後のメール】
迷惑メールが届く頻度は次第に減っていき、やがて完全に途絶えた。だが、それでも私は常に周囲の視線を気にするようになっていた。
最後に届いたメールにはこう書かれていた。
「心配しないでください。私はただ、あなたのことが好きだっただけです。また気が向いたら連絡しますね。」
【エピローグ】
それ以来、迷惑メールは届かなくなった。けれど、時々スマホの通知音が鳴るたびに、心臓が一瞬止まりそうになる。
もしかすると、またあの「送り主」から連絡が来るかもしれないと思うと、今でもゾッとするのだ。
もし、あなたの迷惑メールフォルダに「誰かが自分を知っている」ようなメールが届いたら――それは単なる偶然ではないかもしれません。
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