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写真立てが倒れる時――亡き家族からの“スピリチュアルなメッセージ” 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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忘れられない写真立て

私の家には、リビングに飾ってある一枚の写真がある。

それは、亡くなった祖母との写真だ。数年前、私が大学に入学した頃に祖母が亡くなり、その思い出の一枚を写真立てに入れて飾っている。

祖母は私をとても可愛がってくれた。子供の頃から私の相談相手であり、いつも優しく微笑んでいた。その写真は、そんな祖母の笑顔が写っているものだ。

「おばあちゃん、元気にやってるよ。」

ふとした時にその写真に声をかけるのが、私の日課のようになっていた。

写真立てが倒れた日

ある日、仕事から帰宅すると、リビングに異変があった。

――祖母の写真立てが倒れている。

「あれ……?」

最初は、地震か何かで倒れたのだろうと思った。しかし、その日は地震もなく、他のものは何一つ倒れていなかった。

何だか不思議な気持ちがして、写真立てを元の場所に戻した。

「おばあちゃん、ちゃんとここにいてね。」

そう言って元に戻したものの、その日から奇妙なことが続き始めた。

度々倒れる写真立て

次の日も、また次の日も、家に帰ると写真立てだけが倒れているのだ。

一度や二度なら偶然だろうと思ったが、何日も続くとさすがに気味が悪い。

「風かな? それとも何かの振動?」

気になって、私は写真立ての下に滑り止めをつけたり、壁に固定してみたりした。しかし、それでも帰宅すると写真立ては倒れている。

「おばあちゃん、何か言いたいの?」

そんな言葉が思わず口からこぼれた。

祖母との思い出

不思議な現象に困惑しながらも、ある晩、祖母との思い出を振り返ることにした。

写真立てを手に取り、祖母と過ごした時間を思い出す。

――学校の悩みを聞いてくれたこと。
――風邪を引いた時にお粥を作ってくれたこと。
――私の進路について真剣に話し合ったこと。

そんな思い出を振り返っていると、ふと、祖母の声が聞こえたような気がした。

「ちゃんと休んでる? 無理しすぎてない?」

その瞬間、涙が止まらなくなった。仕事で忙しく、ストレスが溜まっていた私は、気づかぬうちに心の余裕を失っていたのだ。

「……おばあちゃん、心配してくれてるんだね。」

写真立てが倒れなくなった

その日から、私は少しだけ仕事のペースを緩めることにした。無理せず、体も心も休めるように心がけた。

不思議なことに、写真立てが倒れることはそれ以来一度もなくなった。まるで祖母が「もう大丈夫だね」と安心したかのようだった。

写真立てが教えてくれたこと

今でもリビングには祖母の写真立てが飾られている。

「おばあちゃん、ありがとう。」

そう言って写真を見ると、祖母はいつもの優しい笑顔でこちらを見つめている。

偶然かもしれない。気のせいかもしれない。だけど、私にとってはあの写真立てが倒れた日々は、祖母が伝えたかった“メッセージ”のように思えてならない。



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