目次
【プロローグ】
ある日、私はふと本棚の奥から古い写真立てを見つけた。それは大学時代の友人たちと撮った集合写真で、卒業旅行の思い出が詰まった一枚だった。
「懐かしいな…」
写真の中には、笑顔で肩を組む私たち5人が写っていた。久々に見たその写真を、私は部屋の棚に飾ることにした。
だが、それを飾ってから数日後、奇妙なことが起き始めた。
【色あせる一人】
最初に気づいたのは、掃除をしている時だった。
「あれ…?」
写真の中で、友人の一人――裕也だけが微妙に色あせて見えた。他の4人の顔や背景は鮮明なのに、裕也だけが薄くなっているように見える。
「気のせいだよな…」
そう自分に言い聞かせたが、その違和感は消えなかった。
翌日、改めて写真を見ると、裕也の顔はさらに色あせていた。他の部分は変わらず、まるで彼だけが時間の経過から取り残されたようだった。
【最初の警告】
どうしても気になり、私は裕也に電話をかけた。
「おい、裕也。元気にしてるか?」
久々の連絡に、彼はいつも通り陽気に応じてくれた。だが、私は話の途中で抑えきれずに言ってしまった。
「…何か悪いことが起こるかもしれないから、気を付けてくれよ。」
裕也は笑いながら「なんだそれ、占いでもやってるのか?」と言って軽く流した。
【止まらない色あせ】
その後も、写真の中の裕也はどんどん色あせていった。
肌の色が薄れ、服の色もぼやけ、ついには顔の輪郭すら曖昧になり始めていた。
「これは、ただ事じゃない…」
私は再び裕也に電話をかけた。
【二度目の警告】
「裕也、本当に何かあるかもしれない。とにかく病院に行って、人間ドックを受けてくれ。」
「いやいや、俺は元気だって。何言ってんだよ。」
裕也は笑い飛ばしたが、私は必死だった。
「頼む!冗談でも何でもいいから、今すぐ病院で診てもらってくれ!」
あまりにも必死な私の様子に、彼は「分かったよ…」と、しぶしぶ了承した。
【診断の結果】
数日後、裕也から電話がかかってきた。
「お前の言った通りだった。」
医者の診断で、初期の肝臓がんが見つかったという。しかし、幸いにも早期発見だったため、すぐに治療が始まり、命に別状はなかった。
「お前があんなに必死じゃなかったら、病院なんて行かなかった。ありがとう、本当にありがとう。」
彼の言葉に、私は胸を撫で下ろした。
【写真の変化】
その後、私は再び写真を見た。驚いたことに、裕也の色あせていた部分が元に戻り始めていたのだ。
「やっぱり、あれは何かの警告だったのか…?」
その写真は、今でも私の部屋に飾られている。色あせた裕也が警告をくれたことで、彼の命が救われたのだと、今でもそう思っている。
【エピローグ】
時折、裕也からの電話やLINEが届くたびに、私は写真を見返す。今では全員が鮮明に写っており、あの時の奇妙な出来事が嘘のようだ。
もしかすると、写真には写っている人の運命を映し出す力があるのかもしれない。
もしあなたが、写真の中で誰かが色あせているのを見つけたら――それは、何かを伝えるメッセージかもしれません。
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