ある日、私は奇妙なアイテムを手に入れました。それは、アンティークショップの片隅にあった古びた小箱に入っていたイヤリングと指輪です。どちらも繊細なデザインで、一見ただのアクセサリーに見えました。しかし、それらには不思議な力が宿っていることを、後になって知ることになります。
目次
イヤリングの力
イヤリングをつけた瞬間、周囲の空気が変わったように感じました。そして、何気なく窓の外を見ると、近所の野良猫がこちらをじっと見つめていました。その時、猫がはっきりとこう言ったのです。
「やっと気づいたか。」
私は驚いて声も出せませんでしたが、どうやらイヤリングをつけると動物と話せる力が得られるようでした。猫は「早くエサをちょうだいよ」なんて気ままな調子で話しかけてきて、私は半信半疑ながらも、その力に引き込まれていきました。
その日から、イヤリングを使うと犬や鳥、果ては近所のハムスターまで、動物たちと会話ができるようになりました。彼らは私に愚痴や願い事を話し、私はその話を聞くことで不思議な癒しを感じていました。
指輪の秘密
しかし、イヤリングと一緒に手に入れた指輪には、もう一つの奇妙な力がありました。それは、何かを願えば代わりに「何かを失う」という力です。
例えば、「明日の雨を止めてほしい」と願えば、翌日大切にしていた傘がどこかに消えてしまう――そんな具合です。一度試して分かったのですが、その代償は小さなものでは済まない場合もあるようでした。
「指輪は気をつけて使え」
そんな注意書きが、箱の中に書かれていました。
動物たちとの日々
イヤリングの力で、私は動物たちと話すのが日課になりました。通勤途中に会うカラスに「ゴミ捨て場の魚が少ない」と文句を言われたり、ペットショップのインコが「もっとおしゃべりしたい!」とせがんできたり。
ある日、飼い犬を亡くしたという隣人が涙ながらに話すのを聞き、私はイヤリングをつけてその犬の話を聞きました。その犬は「ありがとう、楽しかったよ」と伝えてほしいと言い、私はそれをそのまま隣人に伝えました。隣人は涙を流しながらも微笑み、感謝してくれました。
そんな日々の中で、私はイヤリングを使うことが生きがいのように感じていました。
代償の重さ
しかし、ある時、動物たちと話しているうちに、彼らの願いを叶えたいと思うことが増えてきました。野良猫が「寒いのは嫌だ」と言えば温かい場所を見つけてやりたい、迷子の犬が「家に帰りたい」と言えば助けてやりたい――そう思うようになりました。
そこで私は、指輪の力を使うことを決意しました。
「迷子の犬を飼い主の元に返してほしい。」
指輪を握りしめてそう願うと、犬は無事に飼い主の元へ戻ることができました。しかし、その瞬間、大切にしていた母の形見のブレスレットが消えてしまいました。
その時、私は初めて指輪の力の重さを実感しました。
最後の代償
ある日、いつも会っていた野良猫が「人間になりたい」と言いました。冗談のように聞こえましたが、猫の瞳には本気の光が宿っていました。
私は迷いましたが、指輪を握りしめて願いました。
「この猫が人間のように幸せな人生を送れますように。」
その瞬間、私の視界がぼやけ、頭がズキズキと痛み始めました。気がつくと、イヤリングが壊れて粉々になっていたのです。それだけではありません。ポケットを探しても指輪が消えており、跡形もなくなっていました。
その後
壊れたイヤリングと消えた指輪は、私に何かを教えようとしていたのかもしれません。動物たちと話せる力を失った私は、それでも以前よりも動物たちに目を向けるようになりました。彼らの表情や動きから、少しずつ「何を伝えたいのか」を感じ取れるようになった気がします。
あのイヤリングと指輪がどうして私の手元に来たのか、それが分かることはありません。ただ、彼らが私に「気づき」を与えてくれたことは間違いありません。
もし、あなたが不思議な力を持つアイテムを手に入れたら――その代償が何であるかをよく考えて使ってほしいと思います。
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