目次
プロローグ
人は誰しも、一度は「自分の姿を変えられたら」と思うことがあるだろう。
私はそんな夢のようなアイテムを手に入れたことがある。それは「カメレオンのブローチ」という、小さな奇妙な宝石だった。
しかし、そのブローチとの出会いは私に喜びだけでなく、最後には不思議な余韻を残すことになった。
第一章:偶然の出会い
そのブローチを見つけたのは、休日に立ち寄った骨董市だった。
出店の中で、妙に目を引く小さなアクセサリーが目に入った。銀色のカメレオンを模したブローチで、その目には小さなエメラルドが埋め込まれていた。
店主に値段を尋ねると「2000円でいい」と言われた。
「安いですね。」
「気に入った人だけが手に取る品だからさ。」
どこか意味ありげな言葉に引かれ、私はそれを購入した。
第二章:ブローチの力
その夜、家でブローチを手にして眺めていると、不思議なことが起きた。
ふと「もっとスタイルが良かったらな」と心の中で思った瞬間、ブローチが微かに温かくなり、私の姿が鏡の中で変わっていくのが見えた。
「……嘘だろ?」
驚きながら鏡を見つめると、そこにいたのはスリムで洗練された自分の姿だった。
半信半疑でそのまま街へ出てみると、周囲の反応がいつもと違うのが分かった。目を引く注目を浴びるのだ。
第三章:姿を変える喜び
それから私は、ブローチの力を試すことに夢中になった。
「背が高かったら?」
「もっと若く見えたら?」
「モデルみたいな顔だったら?」
心に思い描くだけで、ブローチは即座にそれを叶え、姿を変えてくれた。
日々の生活は一変した。自信を持てるようになり、仕事や交友関係も以前よりスムーズに進むように感じた。
第四章:力の代償
しかし、ある時から奇妙なことが起き始めた。
ブローチをつけていない時でも、ふとした瞬間に自分が「本当の姿」なのか分からなくなる感覚に襲われたのだ。
「今の自分は、本当の自分だよな……?」
また、ブローチを使えば使うほど、そのエメラルドの輝きが薄れていくことにも気づいた。
第五章:ブローチとの別れ
ある日、私は気づいてしまった。
ブローチを手に取ると、これまで一度も考えたことのない問いが浮かんだのだ。
「もし、このブローチを使わずに生きるとしたら、私はどう見られるんだろう?」
その瞬間、ブローチが手の中で砕け散った。
「え……?」
あまりに突然の出来事に呆然としていると、ブローチの破片が指先からさらさらと消え、まるで最初からなかったかのように跡形もなくなってしまった。
結末
それ以来、私はブローチの力を使えなくなった。
だが、不思議と後悔はしていない。あのブローチが教えてくれたのは、「自分自身を受け入れる大切さ」だったのかもしれない。
本当の自分の姿に戻った私は、以前より少しだけ自信を持って生きられるようになった――それが、ブローチからもらった最後の贈り物だったのだろう。
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