夢を見ることは珍しいことではありません。しかし、あの夢だけは他のものとは違いました。初めて見たその日から、私は自分が「普通ではない何か」に巻き込まれていると感じ始めたのです。
目次
繰り返される閉じ込められる夢
最初にその夢を見たのは、特に何も変わらない平凡な日の夜でした。気づくと、私は見知らぬ部屋にいました。
その部屋は窓もなく、扉も見当たりません。四方は灰色のコンクリートに囲まれていて、唯一の光源は天井から吊り下がる薄暗い裸電球だけ。
「ここはどこだ…?」
声を上げても誰も答えず、周囲を見回しても出口らしきものはありません。焦りながら壁を叩くと、固い音が響くだけでした。
夢だと気づいたのは、目が覚めてからのこと。しかし、そのリアルな感触と恐怖は現実そのものでした。
頻繁に見るようになった夢
それ以来、その夢を見る頻度はどんどん増していきました。最初は数週間に一度でしたが、次第に毎晩のように同じ部屋に閉じ込められる夢を見るようになりました。
夢の中で過ごす時間もどんどん長く感じられ、まるでその部屋が私を手放そうとしないかのようでした。
ある夜、夢の中で壁に文字が刻まれていることに気づきました。指でなぞると、それはこう書かれていました。
「ここから出る方法はない」
その言葉に心底震え上がりました。
夢と現実の境界が曖昧になる
夢が現実に影響を及ぼし始めたのは、それから間もなくのことでした。
例えば、朝起きると手に真新しい傷ができていたり、夢の中で歩いた感触が足に残っていたりしました。ある日、目を覚ますと手のひらに灰色の粉がついていました。夢で叩いていたコンクリートの粉――そうとしか思えないものでした。
「これは夢なのか、現実なのか?」
次第に、私は夢と現実の区別がつかなくなり始めました。
夢の中の訪問者
ある夜、いつものように閉じ込められた部屋で、私は誰かの気配を感じました。振り向くと、薄暗い光の中に人影が立っています。その人影は、無表情の顔で私を見つめていました。
「……誰?」
問いかけても相手は答えません。ただ、指を一本立ててこちらを指差し、低い声で言いました。
「次は現実だ。」
その言葉を聞いた瞬間、私は目を覚ましました。心臓が激しく鼓動し、全身が汗で濡れていましたが、あの言葉が耳から離れませんでした。
現実での閉じ込め
その夜を境に、現実での異変が起きました。
会社のエレベーターが突然止まり、私は一時間以上閉じ込められました。喫煙所のドアが開かなくなり、助けが来るまで動けなくなることもありました。
閉じ込められる夢が、現実に影響を及ぼし始めたのです。
最後の夢
ある夜、私は再び夢の部屋に閉じ込められました。しかし、その部屋は以前と違い、無数の扉が現れていました。それぞれの扉には異なる文字が書かれており、選択を迫られているようでした。
「どれを選べばいいんだ…?」
悩みながらも、一番近くの扉を開けると、そこには見慣れた自分の部屋が広がっていました。「やっと帰れる」と思った瞬間――背後から冷たい手が私の肩を掴み、耳元でささやく声がしました。
「現実はここにある。」
その言葉を最後に、私は目を覚ました。そこは、夢で閉じ込められたあの部屋でした。
夢から抜け出せない現実
それ以来、私は目を覚ますたびに「ここが現実なのか、それともまだ夢の中なのか」を疑っています。時計の針も、周囲の物音も、すべてが作り物のように感じられるのです。
もしあなたが閉じ込められる夢を見るようになったら――それが本当に夢だと言い切れるでしょうか?
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