目次
通勤中に見つけた不気味な存在
私は毎朝、決まった時間の電車で通勤している。途中で乗り換えをする駅があるのだが、そこにはいつも気味の悪い“何か”がいる。
その存在は、ホームの端に立つ人影だ。
最初に気づいたのは1か月ほど前のこと。乗り換えのために電車を待っていると、ホームの端、誰も近づかない場所にスーツを着た男性が立っていた。
「こんな場所に人がいるなんて珍しいな……。」
そのときは特に気にせず電車に乗ったが、次の日も、そのまた次の日も、同じ場所に同じ人影が立っていた。
気味の悪さに気づく
その人影の気味悪さに気づいたのは、もっと後になってからだ。
その男性は、いつも同じ服を着て、同じポーズで立っている。そして、不思議なことに、目が合わないように視線を逸らしても、強烈にその存在を感じてしまうのだ。
顔をしっかり見ることはなかったが、どうしても気になり、ちらっと視線を送ると、真っ黒な瞳がこちらを見ているように思えた。
周りの人の反応
一番奇妙だったのは、周りの人たちがその存在に気づいていないようだったことだ。
ホームには他の通勤客も大勢いるのに、誰一人としてその男性に視線を向ける人がいない。
「気のせいか……いや、絶対にあそこに立っている。」
私は徐々にその存在がただの“人”ではないと感じ始めた。
見ないようにしても見える
日が経つにつれて、私はその幽霊を意識しないように努めた。
ホームに到着すると、絶対に視線を向けない。スマホを見たり、目を閉じたりして、意識的に避ける。
しかし、不思議なことに、見ていなくてもその存在が頭に浮かんでくる。まるで、「こちらを見ろ」と無言で訴えかけてくるようだった。
最後の遭遇
ある朝、いつも通りホームに立っていると、どうしても幽霊のいる方向に視線が引き寄せられた。
「……もう、いい加減にしてくれ。」
心の中でそうつぶやき、意を決してその方向をじっと見つめた。
幽霊は確かにそこにいた。無表情で、私を見つめ返している。その目はどこまでも深く、吸い込まれそうなほどだった。
その瞬間、電車がホームに滑り込んできた。そして幽霊の姿は、電車が通り過ぎた瞬間に消えた。
その後の静寂
それ以来、その幽霊を見ることはなくなった。毎日通るホームにも、もう彼の姿はない。
「何だったんだろう……。」
幽霊が何を伝えたかったのか、なぜ私にだけ見えていたのかはわからない。ただ、彼の消えた後のホームは、不思議と静寂に包まれているように感じた。
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