目次
【プロローグ】
私は7歳の娘を育てる父親だ。
休日の午後、家でのんびり過ごしていると、娘の美咲が「新しい絵本が欲しい」と言い出した。最近、彼女は絵本に夢中で、毎晩寝る前に一冊読んでいる。
「いいよ、じゃあ本屋さんに行こうか。」
私たちは近所のショッピングモールにある大型書店に向かった。
【奇妙な絵本との出会い】
絵本コーナーに着くと、美咲は嬉しそうに棚を見回し始めた。カラフルな表紙が並ぶ中、ふと彼女が一冊の本を手に取った。
その絵本は他のものと少し異なっていた。表紙にはタイトルもイラストもなく、ただ黒い布地のような模様が描かれているだけだった。
「これがいい!」
美咲は迷わずその本を差し出した。
「他にも可愛い本があるよ。これ、本当に読みたいの?」
私の問いかけに、彼女は力強く頷いた。
レジで店員にその本を渡すと、彼女が少し驚いた顔をした。
「あの…これ、どこにありました?」
「絵本コーナーにありましたけど。」
店員はしばらく考え込むような顔をしたが、それ以上何も言わなかった。
【初めての読み聞かせ】
その夜、美咲はさっそくその絵本を読んでほしいと言ってきた。
ページをめくると、中には奇妙な挿絵が描かれていた。モノクロの背景に、どこか陰気な建物や森が映し出されている。文章はシンプルで、こう始まった。
「ある日、一人の子供が森の中で不思議な扉を見つけました。」
物語は、その扉を開けると別の世界に続いているという内容だった。その世界は現実とは違う不思議な場所で、子供が迷い込んでいく様子が描かれていた。
挿絵の雰囲気に違和感を覚えたが、美咲は興味津々で耳を傾けていた。
【絵本の異変】
翌朝、私はその絵本がリビングのテーブルに置かれているのを見つけた。昨晩、美咲の部屋に置いておいたはずだった。
「…美咲が持ってきたのかな?」
不思議に思いながらも、絵本を手に取ってみると、ページに変化があった。昨晩はなかったはずの挿絵が追加されているのだ。
それは、見覚えのある風景だった。私たちの家の裏庭が描かれている。
「これ、どういうことだ…?」
ページをめくると、次には娘の姿が描かれていた。彼女が扉の前に立っている絵だ。
【夢の中の出来事】
その日の夜、私は奇妙な夢を見た。
夢の中で、美咲が絵本の中に描かれていた扉を開けようとしている。私は必死に止めようとするが、声が届かない。
扉の向こうからは、不気味な風が吹き出していた。その風の中には、小さな影が無数に動いているようだった。
「美咲、そこに入っちゃダメだ!」
目を覚ますと、額に汗が滲んでいた。美咲の部屋を確認しに行くと、彼女は無事に眠っていたが、枕元にはまたあの絵本が置かれていた。
【絵本の消失】
次の日、私は決心してその絵本を処分することにした。
絵本を手に取ると、表紙に薄っすらと模様のようなものが浮かび上がっていた。それは昨晩夢で見た扉の絵だった。
「こんな本、もう家に置いておけない。」
ゴミ袋に入れて捨てるつもりだったが、翌朝、なぜか絵本はリビングに戻っていた。まるで意志を持っているかのようだった。
【最後の出来事】
私は意を決して絵本を燃やすことにした。庭で火を起こし、絵本を炎の中に放り込んだ。
燃え上がる絵本から黒い煙が立ち上り、その煙が一瞬だけ扉の形を作ったように見えた。
それ以来、絵本は姿を消し、美咲も元気に過ごしている。
しかし、時々彼女が絵を描いていると、あの扉そっくりの絵が混ざっていることがある。
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