目次
本屋での何気ない休日
その日は特に予定もない穏やかな休日だった。主人公である私は、小学1年生の娘と一緒に近所の本屋を訪れることにした。
「ママ、新しい絵本が欲しい!」
娘は絵本が大好きで、毎晩寝る前に一冊読むのが日課だった。休日の本屋巡りは、親子のささやかな楽しみでもある。
本屋に着くと、絵本コーナーで娘と一緒にいくつかの本を選び始めた。色とりどりの表紙に目を奪われる中、棚の隅に一冊だけ不思議な雰囲気を持つ絵本が置かれているのを見つけた。
「きみだけのとびら」
表紙には、古びた鍵と扉のイラストが描かれていた。妙に惹かれた私は、娘にその本を手渡した。
「これ、どう?」
「わあ、面白そう!」
娘も気に入ったようだったので、それを購入することにした。
不思議な物語
帰宅後、娘と一緒に絵本を開いてみると、そこには奇妙な物語が描かれていた。
物語の主人公は、普通の少年。しかし、ある日、家の中で古い扉を見つけ、その鍵を開けると、まったく違う世界に迷い込んでしまうというストーリーだった。
その世界には、動物たちが言葉を話し、不思議な景色が広がっている。少年はその世界でさまざまな冒険をし、最後には扉を通って元の世界に戻るという話だった。
「すごく面白いね!」
娘は大興奮で、その夜も絵本を抱えて眠りについた。
不思議な夢
その日の夜、私は奇妙な夢を見た。
気づくと、私は小学生くらいの年齢に戻っていて、絵本の中の扉の前に立っていた。夢の中で扉を開けると、絵本で読んだ通りの幻想的な世界が広がっていた。
花が歌い、雲が話す、不思議で美しい場所。私はその世界を歩き回り、様々な動物たちと出会った。
しかし、ふと気づくと、周りの景色が暗くなり始めた。何かが変わっている――。扉の場所に戻ろうとすると、扉が閉じかけている。
「戻らなきゃ……!」
必死で扉を駆け抜けた瞬間、私は目を覚ました。時計を見ると、深夜2時。
娘の様子
目が覚めた私は、ふと娘の様子が気になり、子供部屋へ向かった。
ドアをそっと開けると、驚いたことに、娘が布団の上で絵本を開き、じっと眺めていた。
「どうしたの、こんな時間に?」
私が声をかけると、娘はニッコリと笑って答えた。
「だって、この本すごく楽しいんだもん!ママ、また扉を開けて!」
その言葉に背筋が凍った。娘が言っている扉とは、一体……。
絵本の行方
次の日、私はもう一度絵本を確認してみることにした。しかし、不思議なことに、表紙も中身も薄れて見え、文字が読めなくなっていた。
まるで本そのものが存在を消し始めたかのようだった。
忘れられた絵本
それ以来、その絵本はどこかに紛れてしまった。娘も、いつの間にかその絵本のことを口にしなくなった。
あれは夢だったのか、それとも本当に絵本が不思議な力を持っていたのか――今でもわからない。
ただ、その本を手に取った瞬間の高揚感と、夢の中で見た扉の光景だけは、今も心に鮮明に残っている。
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