目次
【プロローグ】
その公衆電話は、地元では「幽霊電話」と呼ばれ、誰も近づこうとしない場所にある。
深夜0時になると勝手に電話が鳴り出し、電話に出ると何者かの声が聞こえてくるという噂が広まっていた。電話に出た者は、数日以内に何かしらの不運に見舞われるとも言われている。
高校の夏休み、私たち4人の仲間――私、浩平、佳奈、そしてリーダー格の亮介――は、その公衆電話に肝試しに行くことになった。
【公衆電話の場所】
その公衆電話は、廃れた公園の隅にポツンと立っていた。周囲は木々に覆われ、街灯の光も届かない薄暗い場所だった。
「本当にここにあるのか?」
亮介が懐中電灯で辺りを照らすと、古びた緑色の電話ボックスが見えた。汚れたガラスには苔がこびりつき、長い間使われていないのが一目で分かる。
「これだな…幽霊電話ってやつ。」
私たちはその場に立ち尽くし、誰が最初に近づくかを押し付け合った。
【電話が鳴る】
その時だった。
「リン…リン…」
誰も触れていないはずの電話が突然鳴り始めた。
「おい、マジかよ…」
佳奈が怯えた声を漏らす。亮介は少しの間立ち止まっていたが、「こんなのただの悪戯だろ」と言い、意を決して電話ボックスに向かった。
【最初の通話】
亮介が電話を取ると、少しだけ不安そうな顔をしながら耳に当てた。
「もしもし?…誰だよ?」
数秒間、亮介は黙っていたが、やがて顔をしかめた。
「変なノイズしか聞こえない…」
そう言って電話を切ろうとした瞬間、彼の表情が凍りついた。
「…今、俺の名前呼ばれた。」
私たちは顔を見合わせ、冗談じゃないことを悟った。
【次々と呼ばれる名前】
電話が再び鳴り始めた。
「亮介、やめろって!」
浩平が止めようとしたが、亮介は再び電話を取った。
「…浩平…佳奈…来て…」
電話の向こうから聞こえる声は低く、どこか子供のような響きだった。だが、明らかに私たち全員の名前を呼んでいた。
「誰だ!ふざけるな!」亮介が叫んだが、返事はなかった。ただ、不気味な笑い声が響いてきた。
【公衆電話の中の異変】
次第に電話ボックスの中の様子がおかしくなってきた。
ガラスの内側に、まるで指でなぞったような跡が現れ始めたのだ。最初は意味のない線だったが、次第に文字を形作っていった。
「助けて」
佳奈が悲鳴を上げ、浩平はその場から逃げ出そうとした。しかし、電話ボックスの扉が突然大きな音を立てて閉まり、亮介が中に閉じ込められた。
【亮介の失踪】
「亮介!開けろ!」
私たちは扉を開けようとしたが、びくともしなかった。亮介は中で必死に扉を叩いていたが、次第にその姿が薄れていくように見えた。
「なんだこれ…亮介!」
扉が勝手に開いた時、亮介の姿は消えていた。電話ボックスには誰もいない。ただ、電話の受話器がぶら下がり、ノイズだけが聞こえていた。
【その後】
それ以来、亮介は行方不明のままだ。警察にも届け出たが、彼の手がかりは何も見つからなかった。
私たちはそれ以来、公衆電話には近づいていない。しかし、時折耳にする噂では、深夜0時になるとあの電話が再び鳴り始めるという。
もしあなたが深夜に公衆電話を見かけたら――その電話が鳴り出しても、決して出てはいけない。そこに何が待っているか、知るすべはないのだから。
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