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深夜に鳴り響く「公衆電話」 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

最近ではほとんど見かけなくなった公衆電話。スマートフォンの普及で、もう時代遅れの遺物だと思っていた。

しかし、その公衆電話は違っていた――。

第一章:夜道の電話ボックス

その日、仕事が長引き、私は夜遅くに家路を歩いていた。

人通りの少ない道を進んでいると、街灯の薄暗い光の下にぽつんと公衆電話が現れた。ガラス張りのボックスは古びており、使用感が残る黄ばんだ電話機が中に収まっている。

「まだ残ってるんだ、こんなところに。」

軽い懐かしさを覚えながら通り過ぎようとしたとき、不意に電話が鳴った。

「……?」

こんな時間に? 誰がかけてくるんだ?

一瞬迷ったが、周りには誰もいない。電話のベルは執拗に鳴り続けている。

「取るしかないか……。」

第二章:電話の向こう

恐る恐るボックスの中に入り、受話器を手に取った。

「もしもし?」

最初は何の応答もなかった。ただ、かすかなノイズのような音が聞こえるだけ。

「聞こえますか?」

すると、低い声が返ってきた。

「……あなた、道に迷っていますよね。」

「え?」

驚いて受話器を握り直した。声は続けてこう言った。

「次の角を左に曲がれば、安全です。」

意味が分からず戸惑っていると、電話は突然切れた。

第三章:不思議な案内

受話器を戻し、ボックスを出てからも、その声の言葉が頭から離れなかった。

「次の角を左……?」

好奇心から、言われた通りに角を左に曲がると、そこには賑やかな通りが広がっていた。タクシーが数台停まっており、人通りもあって安心感があった。

「偶然だよな……。」

そう自分に言い聞かせながら、そのままタクシーに乗って帰宅した。

第四章:再び鳴る電話

数日後、同じ道を通る機会があった。あの公衆電話を横目に見ながら歩いていると、再び電話が鳴り響いた。

「また……?」

不安と興味が入り混じった気持ちで受話器を取ると、今度は別の声が聞こえた。

「危ない。今すぐ後ろを振り返らないで。」

その言葉に心臓が跳ね上がった。

「……何が?」

声はそれ以上答えず、電話は切れた。

思わず振り返りそうになったが、怖くてそのまま走り去った。

第五章:電話の正体

それ以降も、その公衆電話は何度か私を呼び止めた。

時には危険を避ける方法を教え、時には何かを警告するだけの日もあった。しかし、ある日を境に電話は鳴らなくなった。

あの電話は、いったい何だったのだろうか?

気になって調べてみると、意外な事実が分かった。あの電話ボックスが設置されている場所は、昔、事故が多発していた交差点だったというのだ。

「誰かが、注意を呼びかけているのか……?」

その後、その電話が鳴ることはなく、ボックス自体も撤去されてしまった。

結末

もし、あなたが夜道で公衆電話のベルが鳴るのを聞いたら――それはただのいたずらではないかもしれない。

誰かが、何かを伝えようとしているのかもしれないのだから。



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