目次
プロローグ
親友を亡くした後、日々の生活はどこか空虚だった。
数か月が経ち、少しずつ日常を取り戻していたつもりだったが、心の奥にはぽっかりと穴が空いたままだった。
そんな中、通勤途中で見つけた一台の古い公衆電話が、私の人生を再び揺るがすことになる。
第一章:古臭い公衆電話
その公衆電話に気づいたのは、何気ない朝の通勤途中だった。
古いガラス張りのボックスは、道端の雑草に半分埋もれていて、明らかに使われていないように見えた。
「まだ残ってるんだな、こんなの。」
ふとそんなことを思いながら通り過ぎた。
しかし、それ以来、その公衆電話の存在がどこか気になり始めた。
第二章:親友の番号をかける
ある日、仕事帰りにふと足が止まった。
「……かけてみようか?」
なぜそう思ったのか、自分でも分からない。ただ、懐かしさと無謀な好奇心が入り混じり、私はその公衆電話の受話器を手に取った。
親友の携帯番号をダイヤルすると、「どうせ繋がるわけない」と鼻で笑った。
しかし、コール音が鳴り響いた瞬間、全身に鳥肌が立った。
そして――電話の向こうで、聞き慣れた声が答えた。
「……もしもし? お前、どうした?」
第三章:電話の向こうの親友
「……○○?」
声は間違いなく、数か月前に亡くなった親友のものだった。
「お前、いまどこにいるんだよ?」
何を話せばいいか分からず、混乱したまま問いかけたが、親友は何事もなかったかのようにいつも通りの調子で答えた。
「どこって……家だよ。お前こそ、いきなりどうしたんだ?」
その普通さが、余計に不気味だった。
話を切り上げると、受話器を戻して足早にその場を離れた。
第四章:電話の習慣
それ以来、時々その公衆電話から親友に電話をかけるようになった。
親友はまるで何も変わらないかのように、昔のような軽口を叩き合い、時には真剣な相談にも乗ってくれた。
話すたびに心が軽くなる一方で、やはりその状況の異常さに戸惑いを感じていた。
「これ、夢なんじゃないか……?」
そう思っても、親友の声はあまりにリアルだった。
第五章:消えた公衆電話
ある日、いつものように公衆電話のある道を通りかかると、そこには何もなかった。
「あれ?」
目を疑った。いつもそこにあったはずの公衆電話が、跡形もなく消えていた。
周囲の草むらや道路を見回したが、電話ボックスがあった痕跡すら見つからない。
不安になり、周りの人に尋ねてみた。
「ここに公衆電話がありましたよね?」
しかし、誰もが首を横に振るだけだった。
「そんな電話、見たことないけど。」
結末
それ以来、親友の声を聞くことはなくなった。
ただ、あの公衆電話との会話が幻だったとは思えない。親友の笑い声、アドバイス、そして最後に「またな」と言ってくれた言葉――すべてが鮮明に胸に残っている。
もしまたどこかで、あの公衆電話を見つけることができたら――もう一度親友に会えるのだろうか?
そんな思いを胸に抱きながら、私は今日も同じ道を通る。
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