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見知らぬ番号に繋がる「公衆電話」 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

街角にぽつんと残る公衆電話。その存在に気を留める人はほとんどいないだろう。

しかし、私はその公衆電話に不思議な体験をさせられることになった。

第一章:見慣れた公衆電話

私がその公衆電話に気づいたのは、毎日の通勤路の途中だった。

街路樹に隠れるように設置されているその電話ボックスは、黄ばんだガラスと傷だらけの受話器が時代を感じさせる。

ある日、ふとした思いつきで中に入ってみた。電話をかける相手がいるわけではなかったが、なんとなく受話器を取ってみたのだ。

そのとき、電話機に書かれた一つの番号が目に入った。

「011-XXXX-XXXX」

明らかに知らない番号。しかし、なぜかその番号に強烈に惹かれた。

第二章:かけた先

その番号にかけるべきではない、という思いがよぎったが、手は止まらなかった。

ダイヤルを回し、最後の番号を押した瞬間、受話器の向こうから鈍いコール音が響いた。

そして、数回目のコールで電話が繋がった。

「……はい。」

応答したのは低い男性の声だった。

「すみません、間違えました。」

慌ててそう言ったが、男性は冷静にこう返した。

「間違いではないですよ。あなたがかけるのを待っていました。」

第三章:予言の言葉

驚きで受話器を握り締める手が震えた。

「待ってたって……どういうことですか?」

男性の声は穏やかだったが、妙に胸騒ぎを覚える響きがあった。

「あなた、最近不安なことがあるでしょう?」

その言葉に、私は思わず黙り込んだ。確かに仕事のトラブルや家族の問題で悩んでいたが、それを見ず知らずの相手に言い当てられるとは思わなかった。

「明日の朝、駅のホームで気をつけてください。大事なことが起きます。」

それだけを言うと、電話は切れた。

第四章:現実になった警告

翌朝、言われた通りに駅のホームで周囲に注意を払っていた。

すると、電車を待つ列に並んでいた男性が突然フラつき、線路に倒れ込んだ。

驚いた私はすぐに駆け寄り、男性を助け起こすことができた。

「ありがとうございます……。」

男性は顔色が悪く、貧血を起こしたらしかった。だが、その出来事をきっかけに、昨日の電話が頭をよぎった。

「本当に警告だったのか……?」

第五章:再びかける

その夜、私は再び公衆電話に向かった。

あの番号をもう一度かけようと思ったが、なぜか電話機のどこにもその番号が見当たらなかった。

代わりに、電話機の横には小さな文字が掘られていた。

「知るべきことを知りたいなら、また訪ねてください。」

意味が分からず、その日はそれ以上かけることはできなかった。

結末

その後も、公衆電話の前を通るたびに、妙な感覚に囚われた。

番号をかければ、また何かを教えてくれるのだろうか――それとも、知りたくない真実を知ることになるのだろうか?

今でも、その電話ボックスを見るたびに迷う。かけるべきか、それとも放っておくべきか。

どちらにしても、あの番号が私の記憶から消えることはない。



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