目次
高熱の始まり
それは突然の寒気と高熱から始まった。
仕事が忙しかったせいで疲れが溜まっていた私は、インフルエンザにかかってしまった。医者から「数日間は自宅で安静にしてください」と言われ、会社を休むことに。
しかし、一人暮らしの部屋での高熱は想像以上に辛かった。体が重く、ベッドから動くのもやっと。水を飲むのも億劫で、ただ横になって耐えるしかなかった。
深夜の気配
その日の夜、熱がさらに上がり、うなされるように眠っていた。
ふと意識がぼんやりと戻ったとき、部屋の中に誰かがいるような気配を感じた。
「……誰か、いる?」
薄暗い部屋の隅を見ても誰もいない。しかし、確かに気配はする。窓もドアも鍵がかかっているはずなのに、なぜか視線を感じるのだ。
足音が近づく
もう一度眠ろうと目を閉じたそのとき、部屋の中で微かな足音が聞こえた。
トン……トン……トン……
最初は気のせいかと思ったが、足音はだんだんとこちらに近づいてくる。
「こんな時間に……誰が?」
心臓が激しく鼓動し、恐怖で体が動かなくなった。そのとき、部屋の隅にぼんやりと黒い影が浮かび上がった。
不気味な囁き
その影は、ゆっくりと私のベッドのそばまで近づいてきた。そして、低い声で何かを囁いている。
「……早く……連れていく……。」
熱に浮かされて幻覚を見ているのかと思ったが、その声は耳元ではっきりと聞こえた。
影は顔を近づけ、こちらをじっと見下ろしている。目が合った瞬間、寒気とは違う、底知れない恐怖が全身を駆け巡った。
朝の静寂
恐怖の中、意識が途切れたのか、気がつくと朝になっていた。
部屋には影も気配もなく、ただ静寂が広がっていた。熱も少し下がり、体調は回復に向かっているようだった。しかし、昨夜の出来事がどうしても頭から離れない。
知らされた事実
数日後、ようやく外に出られるようになった私は、近所のスーパーで知り合いの店員から話しかけられた。
「最近、この辺りでインフルエンザが流行ってるみたいですね。そういえば、去年も同じ時期にこのアパートで一人亡くなった方がいるんですよ。」
その言葉に、背中が凍りついた。
私の住むアパートの同じ階で、昨年インフルエンザで亡くなった住人がいたというのだ。
「あの夜の影は……一体誰だったんだ?」
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