それは私がインフルエンザにかかった時の話です。高熱にうなされる中で体験した、奇妙で忘れられない出来事です。
目次
体調悪化と病院の診断
ある日、朝から体が重く、節々が痛むのを感じました。熱を測ると38.5度。これは普通の風邪ではないと直感した私は、早めに病院へ行くことにしました。
診察を受けると案の定、インフルエンザの診断。医師から抗ウイルス薬を処方され、「安静にしていれば治る」と言われました。薬を受け取り、家に帰ってすぐに服用し、布団に入りました。
しかし、その夜、症状はどんどん悪化していきました。熱は40度を超え、頭が割れるように痛く、全身が熱く燃えるような感覚に包まれました。薬が効く気配は全くなく、朦朧とした意識の中で、「これは普通じゃない」と思いました。
不思議な夢の始まり
意識が薄れる中、突然私は見知らぬ場所に立っていました。それは不思議な病院の待合室のような場所で、白い壁に白い床。異様に静まり返っており、周囲には他の患者の姿もありません。
ふと見ると、奥の診察室の扉が開き、中から白衣を着た医師が現れました。医師は、無表情ながらも優しげな雰囲気を漂わせ、「どうぞ」と手招きしました。
夢の中の診察
診察室に入ると、医師は私の顔を見るなりこう言いました。
「これは大変だね。ここまで悪くなるとは。」
「先生、私どうなっちゃうんですか?」
恐る恐る尋ねると、医師は手際よく机から何かの薬を取り出し、透明な小瓶に入った液体を小さなコップに入れました。
「この薬を飲めば、だいぶ良くなるよ。そして、点滴もしておこう。」
医師の言うままに、私は薬を飲みました。喉を通ると同時に、体が少し軽くなる感覚がありました。その後、腕に点滴を打たれ、徐々に意識が遠のいていきました。
「次に目が覚める時には、体調はかなり良くなっているはずだよ。」
医師の声が遠くで響き、私は深い眠りに落ちました。
現実に戻って
目が覚めると、私は自宅の布団の中にいました。全身が汗でびっしょりになっており、布団も湿っています。
「……夢だったのか?」
熱を測ると、40度あったはずの熱が嘘のように下がり、微熱程度になっていました。頭痛や関節の痛みも和らいでおり、体が軽く感じられました。
薬の謎
その後、処方された薬を見直しましたが、医師が夢の中で渡してくれたような薬は見当たりません。点滴の痕も残っておらず、あれは本当に夢だったのか、それとも何か別の力が働いたのか分かりません。
ただ、あの不思議な病院での体験がなければ、私はこの状態まで回復しなかったような気がします。
今でも忘れられない夢
インフルエンザはすっかり治りましたが、それ以来、私は夜に高熱を出すたびに「またあの病院に行くのではないか」と少し怖くなることがあります。
夢の中の医師は一体何者だったのか、そしてなぜあんなにも具体的に感じられたのか――その答えは今も分かりません。ただ、もう一度あの病院に行くことがあるなら、今度はもっと詳しく話を聞いてみたいと思っています。
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