目次
不思議な缶
ある日、主人公の翔太(29)は、仕事帰りに立ち寄ったコンビニで奇妙なエナジードリンクを見つけました。
パッケージはどことなく古めかしく、販売元のロゴも見当たりません。ただ、缶の中央には赤い文字で「Re:Life」と書かれていました。
「新商品かな?」
普段からエナジードリンクを愛飲している翔太は、興味本位でその缶を手に取りました。値段は他の商品より少し高めでしたが、「試してみるか」と購入を決めました。
奇妙な変化
その夜、翔太は帰宅後に缶を開け、ひと口飲んでみました。味は驚くほど美味しく、フルーティーなのに甘さが控えめで、何とも言えない清涼感がありました。
「これ、普通にうまいじゃん」
飲み干してしばらくすると、不思議なことに気づきました。体が急に軽くなり、頭も冴え渡ったような感覚に襲われたのです。
「効きすぎだろ……」
そのままソファに座ってテレビを見ていると、何気なく横のテーブルに置いた雑誌に目が留まりました。それは先月号の雑誌で、買ったまま読んでいなかったものです。
翔太はページをめくり始めましたが、ある特集記事に目が釘付けになりました。
「未来を変える思考法」
その見出しを読んだ瞬間、翔太の頭の中に奇妙なビジョンが浮かび上がったのです。
ビジョンの正体
ビジョンの内容は、翔太が数年前に別れた恋人と再会し、再び付き合う場面でした。細部まで鮮明で、まるで映画のワンシーンを見ているようでした。
「なんだこれ……?」
不思議に思いながらも、その映像に強い懐かしさと幸福感を覚えました。
現実とのリンク
翌日、翔太はいつものように出勤しましたが、通勤途中で偶然、数年前に別れた恋人・美咲と再会しました。彼女は変わらず笑顔が素敵で、翔太の記憶の中そのままでした。
「翔太? 久しぶり!」
美咲が声をかけてきたのです。
まさに昨夜のビジョン通りの場面が現実で起こっていることに、翔太は驚きを隠せませんでした。
次々と起こる奇妙な出来事
その後も、翔太が「Re:Life」を飲むたびに、未来のようなビジョンが浮かび、それが現実となっていきました。
例えば、ある日は職場で上司が激怒する夢を見て翌日を警戒していると、まさにその通りの出来事が起こりました。しかし、夢で見た通りに事前に対応策を準備していたため、危機を回避することができました。
また、ある日は道端で大金を拾うビジョンを見て、実際にその場面が現実となり、落とし主に届けたことで感謝されるという奇妙な体験もしました。
依存の始まり
次第に、翔太は「Re:Life」に依存するようになりました。
「これを飲めば、すべてがうまくいく」
そんな確信が芽生え、毎日のようにコンビニに足を運びました。しかし、あのエナジードリンクはある日突然どこの店舗にも置いておらず、手に入れたのは今日までの6本だけでした。
翔太はあの店に行き、店員に尋ねました。
「あのエナジードリンク、どこで仕入れたんですか?」
しかし、店員は首をかしげてこう答えました。
「そんな商品、うちでは扱ってませんよ?」
失われた「Re:Life」
やがて、「Re:Life」を飲まなくなった翔太の生活は、再び平凡なものに戻りました。未来のビジョンも消え、代わりに淡々とした日常が続きます。
あのドリンクの存在が幻だったのか、それとも異世界からの贈り物だったのか――いまだに翔太にはわかりません。
それでも、彼の心の片隅には確信があります。
「人生は自分次第でいくらでも変えられる」
「Re:Life」は、彼にそんな可能性を教えてくれたのかもしれません。
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