目次
弱った足腰
田中洋一さん(72歳)は、最近足腰の衰えを感じていました。もともと健康には自信があったものの、数年前から階段の上り下りがつらくなり、最近では家の中でも転ぶことが増えていました。
「こんなことで終わる人生じゃない」
そう思いながらも、鏡に映る自分の背中が少し丸くなっているのを見て、寂しさが胸にこみ上げました。
奇妙な転倒
ある日、庭の手入れをしていると、足元がふらつき、つまずいて転んでしまいました。痛みに顔をしかめながら起き上がろうとすると、耳元で小さな声がしました。
「また転んじゃったね」
「えっ?」
驚いて辺りを見回しましたが、誰もいません。
足元からの声
それからというもの、田中さんは転ぶたびにその声を聞くようになりました。
「ほら、もっとしっかり踏ん張って」
「あんまり無理しちゃだめだよ」
声は穏やかで優しく、どこか懐かしさを感じさせるものでした。不思議に思いながらも、田中さんは声の主がわからず、家族にも話せませんでした。
手助けする“何か”
そんなある日、玄関の階段で転んでしまった田中さんが、なかなか立ち上がれずにいると、足元から強い力を感じました。
まるで誰かが支えてくれているように、体がふわっと持ち上がり、立ち上がることができたのです。
「ありがとう……誰かいるのか?」
声をかけても返事はありませんでしたが、不思議と恐怖は感じませんでした。
過去の記憶
その夜、田中さんは布団の中でふと昔のことを思い出しました。小さい頃、よく祖父母に手を引かれながら歩いていた記憶です。
「おじいちゃん、おばあちゃんが助けてくれてるのか……?」
そう思うと、胸が温かくなりました。
足腰が元気に
それからしばらくすると、田中さんの足腰に不思議な変化が現れました。転ぶことが少なくなり、庭仕事もスムーズにこなせるようになったのです。
まるで見えない“何か”が支えてくれているかのようでした。
声の正体
ある日、庭で小さな石をどけると、古びたお地蔵様が顔を出しました。
「こんなところにお地蔵様が……」
その瞬間、田中さんは気づきました。あの声は、このお地蔵様が守ってくれていたのではないかと。
感謝の気持ちを込めてお地蔵様をきれいに磨き、庭の片隅に祀ることにしました。
元気を取り戻す日々
それ以降、田中さんの足腰はすっかり元気になり、転ぶこともほとんどなくなりました。
「まだまだ頑張らないとな」
庭のお地蔵様にお礼を言いながら、田中さんは新しい趣味である家庭菜園に精を出しています。
【まとめ】
年を取ると体が弱るのは自然なこと。でも、誰もが目に見えない何かに支えられているのかもしれません。
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