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小学生のころの夢が教えてくれたこと 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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孤独な老人の日常

私は75歳になる老人だ。一人暮らしを始めてからもう何年経っただろうか。

家族も友人も遠く離れ、今では連絡もほとんどない。しかし、私は孤独が嫌いではない。むしろ、自分のペースで暮らせるこの静かな生活を好んでいる。

毎日、庭の手入れをしたり、近所の公園を散歩したりして、質素ながら穏やかな日々を送っている。

最近見る夢

そんな私が、ここ数週間、毎晩のように同じ夢を見るようになった。

夢の中で私は小学生に戻っている。学校のグラウンドを駆け回り、友達と鬼ごっこをして笑い声を上げている。あのころ好きだった給食のクリームシチューや、授業中に先生に怒られた記憶まで鮮明だ。

「懐かしいな……。」

夢から覚めた後も、その感覚がしばらく残り、心がじんわりと温かくなる。

不思議な感覚

ある日、夢の中で私はクラスメイトと一緒に学校の裏山へ行った。そこには、当時の私たちが「秘密基地」と呼んでいた小さな空間があった。

「ここ、よく来たよな……。」

その場所は夢の中でも懐かしさで胸がいっぱいになるような場所だった。友達と一緒に木の枝を拾ったり、小さな洞窟を探検したりした記憶がよみがえってくる。

夢から覚めた後も、その裏山の景色が妙にリアルに頭に焼き付いていた。

夢と現実のリンク

その日、ふと思い立って昔住んでいた町を訪れることにした。

「今さら戻ったところで何も変わらないだろう。」

そう思いながらも、あの夢が私を突き動かした。電車を乗り継ぎ、かつての家の近くに着いたとき、目の前に広がる景色はずいぶん変わっていた。家々は新しくなり、かつての学校は取り壊されていた。

しかし、不思議なことに、夢で見た裏山だけは当時のまま残っていた。

裏山での発見

裏山に足を踏み入れると、そこにはかつての秘密基地の跡があった。夢で見た通りの場所だった。

木の枝や落ち葉が積もる中、地面に小さな鉄製の箱が半分埋まっているのを見つけた。箱を開けると、中には古びたノートと数枚の写真が入っていた。

写真には、小学生だった頃の私と友達の姿が写っていた。みんな笑顔で、秘密基地で遊んでいるところだった。

そして、ノートには子供らしい字でこう書かれていた。

「未来の自分へ。元気でやってる?またここに来てくれたら嬉しいな。」

現在と過去のつながり

そのノートを読んで、私は胸が熱くなった。孤独な日々を好んでいたはずの私の中で、忘れていた大切な何かが蘇った気がした。

夢を見たのは偶然ではなかったのかもしれない。あの頃の記憶が、私をもう一度「自分自身」に引き戻してくれたのだろう。

その後、私はその箱を元に戻し、裏山をあとにした。

新たな日々

それ以来、夢を見ることはなくなった。しかし、あの裏山での出来事が私に少しの変化を与えた。

散歩の途中で出会う人々に挨拶をするようになり、たまには近所の集まりにも顔を出すようになった。

孤独を好む自分は変わらないが、それでも時折、誰かと笑顔を交わすことが悪くないと思えるようになったのだ。



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