目次
帰り道の違和感
その日、私は深夜まで友人と飲んでいた。終電を逃してしまい、家まで徒歩で帰ることになった。普段はタクシーを使うが、飲み過ぎて現金が足りず、仕方なく歩くことを選んだ。
自宅までは徒歩で30分程度。街灯が少なくて暗いが、特に危険な道ではない。酔いを冷ましながらゆっくり歩いていると、あることに気づいた。
「こんな道、あったっけ?」
見慣れない一本道に出ていた。周囲は深い木々に囲まれ、街灯がポツポツとあるだけ。普段この道を通らないが、近道になりそうだと思い、そのまま進むことにした。
始まる異変
最初は特に何もなかった。ただ静かで、足音と虫の鳴き声が響いているだけ。しかし、しばらく歩いていると、妙な既視感を覚えた。
「このカーブ、さっきも曲がったような……」
周囲を見渡すが、どの木も似たような形で、違いがわからない。気のせいかと思い、そのまま歩き続けた。しかし、10分ほど歩いても景色がまったく変わらないことに気づいた。
「同じ道をぐるぐる回ってるのか?」
来た道を引き返そうとしたが、振り返ると、同じような道がまっすぐ続いている。だんだんと自分がどちらから来たのかわからなくなり、焦りが募る。
歩いても、歩いても
時計を確認すると、もう深夜2時を回っていた。30分歩けば家に着くはずなのに、まったくその気配がない。
「おかしい……こんなに歩いてるのに……」
足は疲れ、喉も乾き、頭がぼんやりしてきた。それでも歩き続けた。街灯が時折切れかけてチカチカと瞬く音が耳に刺さる。
そのとき、ふと後ろから気配を感じた。
「誰かいるのか?」
振り返るが、誰もいない。ただ風が木々を揺らしているだけだった。
誰かの気配
不安が募る中、さらに進むと、道の片隅に古びた看板が見えた。
「この先、立ち入り禁止」
その文字が不気味に思えたが、もう引き返す選択肢もない。どうせループしているのだから、進むしかないと決めた。
看板を越えた先で、ふいに足音が聞こえた。自分のものではない。
「誰かいるのか!」
声を張り上げたが、返事はない。ただし、足音だけが私の後を追い続けているようだった。
道の終わりを目指して
歩き続けているうちに、ふと目の前に明るい光が見えた。
「あれは……出口か?」
希望が湧き、力を振り絞って駆け出した。しかし、どれだけ走っても光は近づかない。まるで私をからかっているようだった。
やがて、光が消え、再び暗い一本道だけが残った。
街灯の影
疲れ果て、しゃがみ込んだとき、街灯の明かりに映る自分の影が揺らいでいることに気づいた。
「……あれ?」
影の形がおかしい。私の動きとは関係なく、影が勝手に動いているのだ。影がじわじわと形を変え、何か別の存在になりつつあるようだった。
恐怖に駆られ、再び歩き出したが、影はいつの間にか私を先導するかのように前を歩き始めた。
ループの終わり
どれだけ歩いても、同じ景色。とうとう私は疲労で倒れ込んだ。そのとき、遠くから声が聞こえた。
「……大丈夫ですか?」
目を開けると、そこには見知らぬ女性が立っていた。
「ここ、どこですか……?」
女性は微笑んでこう言った。
「この道に入った人は、みんなそう聞くんですよ。」
彼女の足元を見ると、薄い影のようなものが蠢いていた。それが先ほどの私の影と同じものだと気づいたとき、意識が遠のいていった。
朝の帰還
目を覚ますと、私は自宅のベッドにいた。昨日の出来事はすべて夢だったのか? そう思いながら、靴を見ると、泥だらけになっていた。
「やっぱり、あの道は……」
二度とその道を歩くことはなかったが、夜になると夢の中で何度もあのループに迷い込む自分を見てしまう。
「歩いても抜け出せない道――無限ループに囚われた深夜」
こんな恐ろしいループ、あなたなら抜け出せますか? 一歩間違えれば、永遠に囚われるかもしれない――。
怖い道を歩くときは、どうかお気をつけて。
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