目次
プロローグ
私はひどい肩こりに悩まされている。
長時間のデスクワークが続くせいで、肩がカチカチに固まり、時には激しい頭痛や吐き気まで引き起こす。
病院に行っても、湿布や痛み止めをもらうだけで根本的な解決にはならない。
そんな日常に変化が訪れたのは、ある日、たまたま入った薬局でのことだった――。
第一章:見慣れない薬局
その日も仕事帰りに肩こりが酷くなり、頭痛で歩くのも辛い状態だった。
いつも通る道沿いに、小さな薬局を見つけた。見覚えのない店だったが、看板には「肩こり専門薬局」と書かれていた。
「肩こり専門……?」
普段なら素通りしていただろうが、その看板に妙に惹かれて、ふらふらと中に入った。
第二章:薬剤師との出会い
薬局の中は狭く、古びた棚には見慣れない瓶や箱が並んでいた。
カウンターの奥に立っていたのは、年配の女性だった。白衣を着ているが、どこか薬剤師というより占い師のような雰囲気があった。
「肩こりにお困りですか?」
何も言わないうちに女性はそう言い、私をじっと見つめた。
「ええ……仕事のせいで、もう限界です。」
私が答えると、彼女は頷き、小さな引き出しから茶色い瓶を取り出した。
「これをお試しください。肩こりに効きますよ。」
瓶にはラベルもなく、中には青い液体が入っていた。
「これ……何なんですか?」
「特別な薬です。一日一滴、肩に塗るだけで良くなりますよ。」
第三章:試してみた薬
半信半疑のまま、その薬を購入して帰宅した。
翌朝、試しに肩に一滴垂らしてみると、液体はひんやりとして心地よかった。
驚いたことに、その日一日中、肩こりの症状が全く現れなかった。
頭痛や吐き気も消え、仕事中も快適に過ごすことができた。
「すごい……本当に効くんだ。」
そんなことがあるはずがないと思いながらも、肩こりから解放された喜びに浸った。
第四章:妙な変化
薬を使い続けるうちに、あることに気づいた。
肩こりは確かに良くなっているのだが、どうも周囲の音が大きく聞こえるようになってきたのだ。
たとえば、会社で同僚が小声で話している声や、隣のデスクでペンを動かす音までもが、鮮明に聞こえる。
「気のせいだよな……。」
そう思おうとしたが、日が経つにつれてその感覚は強まり、最終的には遠くの部屋で会話している声まで聞こえるようになった。
第五章:薬剤師の言葉
不安になった私は再びあの薬局を訪れ、女性に相談した。
「最近、音が妙に大きく聞こえるんです。これって薬のせいですか?」
女性は穏やかな笑みを浮かべ、こう言った。
「心配いりません。それはあなたの体が正常に戻り始めた証拠ですよ。」
「正常って……?」
「肩こりやストレスで鈍っていた感覚が、薬によって研ぎ澄まされてきたんです。」
女性の言葉に完全には納得できなかったが、確かに肩こりは治り、体調も良くなっているため、その場では深く追及しなかった。
第六章:もう一つの効能
さらに数日が経つと、音だけでなく、視界にも変化が現れ始めた。
目の端に、一瞬だけ光の筋のようなものが見えるようになったのだ。
最初は疲れ目のせいかと思ったが、その光の筋は、私が集中すると明確に見えるようになった。
それは、私の体の動きに合わせて伸びたり消えたりしており、まるで自分の体の内部から発しているようだった。
「これは……何だ?」
第七章:薬を使わなくなる日
ある日、ふと気づいた。肩こりの症状は完全に消え、薬を使わなくても快適に過ごせるようになっていた。
それと同時に、音や光の感覚も薄れていった。
「……あの薬、何だったんだろう?」
不思議に思い、再び薬局を訪れたが、そこには何もなく、薬局そのものが消えていた。
周囲の住民に尋ねても、「そんな店は知らない」と口を揃えて言うだけだった。
結末
あの薬が何だったのか、あの薬剤師が何者だったのか、今でも分からない。
ただ、肩こりがなくなったのは確かだ。
私は時折、肩が軽くなったことに感謝しながら、あの青い液体と不思議な感覚を思い出している――。
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