目次
限界を迎えた肩こり
私はデスクワークが主な仕事のサラリーマンだ。長時間パソコンの前に座り続けるせいで、慢性的な肩こりに悩まされている。
特に最近ではひどく、肩の痛みだけでなく、頭痛や吐き気まで引き起こすほどだ。整骨院やマッサージにも通ったが、一時的に楽になるだけで、すぐに元通り。
「もう、この肩こりとは一生付き合っていくしかないのか……。」
そんなことを考えながら、疲れ果てた体を引きずって家路を歩いていたある日のことだ。
奇妙な薬局との出会い
その日は、普段通らない裏道を歩いて帰ることにした。大通りは人も車も多く、イライラするだけだったからだ。
裏道を進んでいると、古びた小さな薬局が目に入った。木製の看板には手書きの文字で「**堂薬局」とだけ書かれている。
「こんなところに薬局なんてあったか?」
何年もこの近辺を歩いているはずなのに、記憶になかった。しかし、肩こりの痛みに耐えられず、何か良い薬がないかとふらりと店内に入ってみた。
不思議な店内
店内は驚くほど静かで、どこか昔懐かしい雰囲気が漂っていた。木製の棚には所狭しと薬瓶や小箱が並び、見たこともない漢方のようなものが置かれている。
奥から現れたのは、小柄で白髪の女性だった。年齢は70代後半だろうか、しかしどこか凛とした雰囲気を持っている。
「いらっしゃい。どうされました?」
彼女の声は柔らかく、自然と肩の力が抜けるような感覚を覚えた。
「肩こりがひどくて……特に最近は頭痛と吐き気まであって辛いんです。」
そう伝えると、彼女は静かに頷き、店の奥から小さな青い瓶を持ってきた。
奇妙な薬
「これを使ってみなさい。塗るだけで肩が軽くなるわよ。」
瓶の中身は透明なジェルのようなもので、ほのかにハーブの香りがする。ただ、それ以外に特別な特徴はなく、本当に効果があるのか半信半疑だった。
「おいくらですか?」と尋ねると、彼女は微笑みながら答えた。
「500円でいいわ。ただし、一度使い切り。」
値段も安かったので、試しに購入することにした。
驚きの効果
帰宅してすぐに、そのジェルを肩に塗ってみた。冷たい感触が心地よく、スーッと肌に馴染む。
すると、数分もしないうちに肩の重みが取れていくのを感じた。まるで長年背負っていた重荷が解けたような感覚だ。
それだけではない。頭痛も吐き気もすっかり消え、体が羽のように軽くなっていた。
「これはすごい……!」
あまりの効果に驚き、次の日もあの薬局を訪れることにした。
薬局の消失
しかし、いざ訪れてみると、そこには薬局は存在していなかった。代わりにただの古い空き家があるだけだったのだ。
「昨日確かにここで薬を買ったはずなのに……。」
混乱しながら周囲を歩き回るが、薬局らしきものは見つからない。
不思議に思いながらも、そのジェルのおかげで肩こりが完全に消えたのは事実だった。それ以来、肩の痛みに悩まされることはなくなった。
後日談
あれから何度か同じ道を通ったが、薬局が現れることは二度となかった。
「あの薬は何だったのだろう?」
謎は解けないままだが、肩の痛みから解放された私は、ただ感謝の気持ちを抱いている。
この話を誰かにすると、みんな笑い飛ばすか、「疲れすぎて幻覚を見たんじゃないか?」と言う。
しかし、私にとってあの薬局と青いジェルの存在は確かに現実だった。
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