目次
プロローグ
数字は私たちの生活のあらゆる場面に登場する。時間、日付、電話番号、料金――どれも絶対的で正確なものとして私たちは信じている。
しかし、もしその「数字」が少しだけズレていたら?
私はある日、そんな奇妙で不思議な体験をした。
第一章:始まりのズレ
その日、私は朝から不思議な感覚を抱いていた。
いつも通り目覚まし時計のアラームで起きたはずなのに、時計の針が微妙にズレていた。
「6時半にセットしたはずなのに、どうして6時27分に鳴ったんだ?」
最初は「たまたま壊れただけだろう」と思って気にしなかった。
しかし、その日から私の周りで数字のズレが頻発するようになった。
第二章:日常の異変
コンビニで買い物をした時、レシートに印刷された金額が何度見ても違って見える。
例えば、レジでは「598円です」と言われたのに、レシートを見ると「595円」と印字されていたり、逆に「601円」になっていたりした。
また、スマホの時計も奇妙だった。1分進んでいると思ったら、次の瞬間には2分遅れている。
「こんなこと、普通は起こらないよな……。」
日を追うごとにそのズレは頻繁になり、私は次第に不安を覚え始めた。
第三章:誰にも気づかれない
周囲の人に相談しても、誰も数字のズレを感じていないようだった。
「そんなの気にしすぎじゃない?」
「時計なんて多少ズレるもんだよ。」
友人や同僚の反応は冷たかった。
しかし、私の中では確信があった。これは単なる偶然や気のせいではない、と。
第四章:図書館での発見
何か手がかりを得ようと、私は近所の図書館で「時間」や「数字」に関する書籍を調べることにした。
古びた棚の一角で、目を引いたのは『数字の影』という奇妙なタイトルの本だった。
著者名も記載されておらず、手に取ると表紙がひんやりと冷たかった。
ページをめくると、そこには次のように書かれていた。
「数字のズレは、もうひとつの現実が干渉している証拠。」
「もうひとつの現実……?」
さらに読み進めると、数字のズレが増えるほど、その人のいる現実が不安定になり、最終的には「もうひとつの現実」に飲み込まれる、とあった。
第五章:ズレの極致
その夜、私はさらに大きなズレを体感することになった。
家の電気料金の請求書を見ると、前月まで「8,000円前後」だったのが、突然「10,325円」に跳ね上がっていた。
しかし、翌日にはその請求書が消え、代わりに「7,915円」と書かれた別の請求書が届いていた。
「これは……何かがおかしい……。」
私は急いで電気会社に電話したが、担当者は「そんな請求書は存在しない」と言うばかりだった。
第六章:もうひとつの現実
次第に、ズレた数字がただの「違和感」ではなく、現実そのものを揺るがすものに変わり始めた。
ある日、友人と待ち合わせをしていた時のことだ。
待ち合わせ時間のはずなのに、スマホの時計と駅の時計が5分以上ズレていた。
「遅れてごめん!」と言った友人は不思議そうに私を見てこう言った。
「いや、遅れてないけど?」
その時、私は自分が完全に「ズレた現実」に足を踏み入れたのだと悟った。
第七章:解決の糸口
どうにかして元の安定した現実に戻りたい――。
私は再び『数字の影』を読み返した。
そこには、ズレを修正するためには「自分の存在を確認すること」が必要だと書かれていた。
つまり、自分がどの現実にいるのかを明確に意識し、固定する必要があるというのだ。
結末:ズレの終焉
それから私は、日常生活の中で「自分が今いる場所」「自分がいる時間」を何度も確認するようにした。
スマホや時計だけに頼らず、自分の感覚を信じることで、少しずつズレは修正されていった。
ある朝、目覚めると全てが元に戻っていた。
時計は正確で、請求書も正常、待ち合わせでもズレはなかった。
「これで……終わったのか。」
しかし、ふとした時、レシートの金額や時計の針に目をやると、また小さなズレが起きているような気がしてならない。
もしかすると、あの「もうひとつの現実」が再び私を引き込もうとしているのかもしれない――。
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