目次
【プロローグ】
私はゲーム好きの普通の会社員だ。
仕事が終われば、一人暮らしの部屋で古いゲームをプレイするのが日課。特に昔のゲーム機には独特の雰囲気があって、そのシンプルさが心地よい。
そんなある日、私は近所のリサイクルショップで一本のゲームソフトを見つけた。タイトルは「SPIRIA（スピリア）」。見たことのない名前だが、価格も安かったので試しに購入した。
これが、私の人生で最も奇妙な体験の始まりだった――。
【ゲームの起動】
帰宅後、私は早速そのソフトを古いゲーム機にセットした。電源を入れると、画面にはシンプルなタイトル画面が映し出された。
「SPIRIA」
幻想的な音楽が流れ、タイトル画面はどこか不気味な美しさを持っていた。メニューには「はじめから」と「つづきから」の二択が表示されている。
「『つづきから』って…前の人のセーブかな？」
気になりつつも「はじめから」を選択すると、画面に主人公と思われるキャラクターが表示され、ゲームが始まった。
【奇妙なゲーム内容】
ゲームは、一人のキャラクターを操作して不思議な世界を探索する内容だった。背景には星空が広がり、地面は透き通るような水面。まるで現実感のない世界に迷い込んだような感覚だった。
ゲーム内で「魂のかけら」と呼ばれるアイテムを集めることでストーリーが進む仕組みらしい。しかし、その「かけら」は特定の場所に行かないと手に入らない。
探索を進めていくと、突然画面に奇妙なエラーメッセージが表示された。
「ERROR: ココロガトジツデスカ？」
「何だこれ？」
エラーとはいえ、特にゲームが止まるわけではなかったので、そのまま進めてみることにした。
【謎のエラーメッセージ】
ゲームを続けていると、さらに奇妙なエラーメッセージが次々と表示されるようになった。
「ERROR: アナタハ何ヲ信ジマスカ？」
「ERROR: セカイノカタチハ…変エラレル。」
それぞれのメッセージには答えることができないが、読み進めるとどこか胸の奥をざわつかせるような感覚を覚えた。
まるでゲームそのものが私に問いかけてくるようだった。
【ゲームの中の「もう一人の自分」】
しばらく進めると、ゲーム内に奇妙なキャラクターが現れた。それは、主人公そっくりの姿をしたもう一人のキャラクターだった。
そのキャラクターがこちらに向かってこう話しかけてきた。
「キミハ、コノセカイヲアルクタビニ、ナニヲ見ツケル？」
会話の選択肢が表示されるわけでもなく、ただその言葉が画面に浮かび上がるだけ。
私は少し不安になりつつも、キャラクターの先導に従い、進むことにした。
【スピリチュアルな選択肢】
探索を続けるうちに、「魂のかけら」を集めるたびに現れるエラーメッセージが次第に変化していった。
最初は意味不明な文章ばかりだったが、次第に「選択」を迫るような内容になってきた。
「ERROR: この世界を救いますか？」
「ERROR: 全てを壊しますか？」
選択肢は表示されないが、進む方向によって答えが変わるような気がした。
右に進むと「救う」、左に進むと「壊す」――そんな感覚が頭の中に浮かんでくる。
【世界の変化】
ゲーム内で「救う」方向に進むと、背景が一瞬で変わった。
透き通る水面だった地面が、花が咲き乱れる草原に変わり、星空も青空に変化した。だが、その一瞬の後、画面には再びエラーメッセージが表示された。
「ERROR: それは本当の救いですか？」
不気味に感じた私は、次に「壊す」方向に進んでみることにした。
すると、背景は真っ暗になり、音楽も停止した。その中でキャラクターが独り言のようにこう呟いた。
「壊すことでしか、創れないものがある…」
【ゲームの終焉】
探索を続け、最後の「魂のかけら」を手に入れると、ゲームは急に終了した。
画面が真っ暗になり、代わりに最後のエラーメッセージが表示された。
「ERROR: 全ては問い。答えはキミの中に。」
その後、ゲーム機の電源が自動的に切れ、再びソフトを起動しようとしても何も映らなくなっていた。
【エピローグ】
あのゲームが何だったのか、いまだに分からない。
ただ、プレイしている間中、まるで私の意識や選択が試されているような感覚を味わった。
もしまた「SPIRIA」というゲームソフトを見つけても――もう一度手に取る勇気があるかどうかは分からない。
もしあなたが、見知らぬゲームソフトを手に入れることがあれば――その世界が何を問うのか、覚悟してプレイすることをお勧めする。
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