「変な雲を見たこと、ありますか?」
この話を聞いたのは、数年前、地元の友人たちと集まったときのことでした。どこにでもある田舎町での一幕。しかし、この話を聞いた瞬間から、私はその町に帰るのが怖くなりました。
目次
奇妙な雲
その町は周囲を山に囲まれ、空気が澄んだ美しい場所です。空を見上げるのが日課になるほど、毎日変わる雲の模様を眺めるのが楽しい町でした。
ある日、町の高校生だった友人のAが学校帰りに不思議な雲を見たと言い出しました。それは他の雲とはまるで違う、奇妙な雲だったそうです。
「形がね、人の顔みたいに見えるんだよ。ただの偶然だと思って最初は笑ったんだけど、なんか見てるとその顔が…こっちを見てる気がしてさ。目も口も動いてるみたいに見えたんだ。」
そんな話をしている間も、Aの表情はどこか青ざめていました。私たちは最初、「そんなの妄想だろう」と笑い飛ばしました。でも、Aは真剣でした。
「いや、本当に変だったんだ。見た場所、河川敷のあたりだから、お前らも帰りに見てみろよ。」
その雲を見た者は…
その後、Aが言っていた河川敷に別の友人Bが行ってみたのですが、彼も同じような雲を見たと言い出しました。
「夕方だったけど、あれは本当に気味悪かった。確かに顔に見えたし、なんだか笑ってたように感じた。あと、雲の中で何かが動いてるみたいな感じがして…」
それから数日後、Bが学校を休むようになりました。連絡を取ろうと電話をしてもつながらず、家を訪ねても家族は「風邪で寝ている」とだけ言いました。
Bの話題が薄れていった頃、今度はCという別の友人が奇妙な体験をしました。
「夜、窓の外を見てたら、顔みたいな雲がこっちを見てたんだよ。動かないで、ただそこに浮かんでた。気味悪くて目を離したんだけど、次に見たときには消えてた。」
その後、CもBと同じように学校を休みがちになり、とうとう引っ越してしまいました。A、B、Cと次々と体調を崩した友人たち。誰もが「顔みたいな雲」を見てから、何かがおかしくなっていったのです。
私の体験
そして数週間後、私自身がその雲を見てしまったのです。場所はAが最初に言っていた河川敷でした。
夕方、少しひんやりとした空気の中で空を見上げたとき、それは突然現れました。まるでそこだけ切り取られたような雲。確かに、顔に見える形をしていました。そして、確かに目が私を見ている。
最初はただの偶然の形だと思おうとしました。でも、雲の中の「目」が明らかに動いている。口元も、ゆっくりと動いているように見える。
何か言葉を話そうとしている?
私は怖くなり、走ってその場を離れました。しかし、その日を境に、家の周りで妙なことが起き始めたのです。
追いかけてくる雲
家の窓をふと見上げると、あの「顔の雲」が遠くに浮かんでいる。初めは偶然かと思いました。でも、何度見ても同じ雲が見えるのです。
雲は次第に近づいてきている気がしました。しかも、それだけではありません。夜になると、家の中に誰かの視線を感じるようになりました。もちろん誰もいません。でも、その視線の方向に目を向けると、決まって窓の外にあの雲が浮かんでいるのです。
寝ようとしても、窓の外にあの雲が浮かんでいるのではないかという恐怖で眠れませんでした。
恐怖の終わり
それから数日後、私がどうしても耐えきれなくなり、祖父母の家に逃げるように泊まりに行きました。すると、不思議なことにあの雲は姿を消したのです。
祖父母の家は町から離れた山奥でした。そのせいなのか、追ってくる気配は全くなくなりました。
しかし、実家に戻ると、再びあの雲が現れました。そして、その夜、とうとう夢の中で雲が私に話しかけてきたのです。
「お前も来い…ずっと一緒だ…」
目が覚めると、体中に冷たい汗が流れていました。そして、それ以降、私は二度とその雲を見ることはありませんでした。ただ、AやB、Cといった友人たちも、その後、どうなったのかは誰も知りません。
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