目次
プロローグ
空を見上げると、私たちは当たり前のように雲を目にする。
それは時に美しく、時にただの空の一部として存在する。
しかし、ある日私は、そんな当たり前の風景の中に隠された恐ろしい秘密を知ることになった。
第一章:異常な「雲のない空」
それは、久しぶりに田舎の実家へ帰ったときのことだった。
昼下がり、家族とのんびり話をしながらふと空を見上げると、驚くべき光景が目に入った。
「……雲が、一つもない?」
青い空がどこまでも広がっているのに、雲のかけらすら見当たらないのだ。
夏の暑い日でも多少は雲があるはずだ。しかし、その日は異様なまでに「雲が消えた空」だった。
「変な天気だな……。」
気にしないようにしていたが、心の奥で何か引っかかるものを感じていた。
第二章:祖母の言葉
その夜、祖母と話しているとき、ふと昼間の空の話をした。
「今日、空に雲が一つもなかったんだよ。」
すると、普段は穏やかな祖母の顔が、急に険しくなった。
「……あんた、それ、どこで見たの?」
「え? どこって、家の庭からだけど……。」
祖母はしばらく黙り込んだ後、小さな声でこう言った。
「その空、見続けちゃダメだよ。」
「え……何それ、どういうこと?」
問い詰めようとしたが、祖母はそれ以上何も話してくれなかった。ただ、その夜から妙な胸騒ぎが消えなかった。
第三章:奇妙な現象
次の日、私は祖母の言葉が気になりつつも、昼間の空をもう一度確認することにした。
外に出て空を見上げると、やはり雲が一つもない。
それどころか、遠くの山々や木々が、まるで背景の絵のように感じられるのだ。
「……何か、おかしいな。」
その時だった。頭上からかすかな低い音が聞こえてきた。
「ゴゴゴゴ……。」
雷のような音に似ているが、天気予報では晴れが続くと言っていたはずだ。
不安になりながらも空を見上げ続けると、突然視界の端に「薄い雲」のようなものが現れた。
第四章:雲の正体
その雲は、ただの水蒸気の塊ではないと直感的に感じた。
ゆっくりと形を変えながら、まるで「何か」を包み隠しているように見えたのだ。
「……中に何があるんだ?」
興味本位で目を凝らして見ていると、その雲の奥から、奇妙な物体がぼんやりと浮かび上がってきた。
それは、無数の小さな点が集まった、巨大な「網」のような形だった。
第五章:祖母の警告
急いで家に戻り、再び祖母にそのことを話した。
「雲が消えてて、その代わりに変なものが見えたんだよ。」
祖母は目を見開き、私の肩を掴んでこう言った。
「もうその空を見ちゃダメ! あんた、その雲に取り込まれるよ!」
「取り込まれるって、何の話?」
祖母はため息をつきながら、ぽつぽつと話し始めた。
「昔、この村では雲が消える日があった。その日は決まって誰かが行方不明になるんだ。」
「行方不明……?」
「その空を見続けると、何かに呼ばれるように、その人は消えてしまうって言われてたんだよ。」
第六章:近づいてくる不安
その夜、私は部屋の中から窓越しに外を見ていた。
月明かりの下、相変わらず雲は一つもなかった。
しかし、気づけば庭の上空に、昼間見た「薄い雲」が静かに漂っていた。
「……どうして、こっちに来てる?」
胸騒ぎが一気に高まり、私は慌てて窓を閉め、カーテンを引いた。
しかし、その後も、雲が私のいる方向に近づいているような気がしてならなかった。
第七章:最後の体験
翌朝、空を確認すると、いつの間にか雲が普通に戻っていた。
祖母に昨夜の話をしようとしたが、何も聞きたくないと断られた。
ただ一言、「もうその空を忘れなさい」と言われただけだった。
それ以来、雲のない空を見ることはなかったが、時折ふとした瞬間に、頭の中であの奇妙な音が聞こえることがある。
「ゴゴゴゴ……。」
それはまるで、再び私をあの空へ呼び戻そうとしているかのようだった――。
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