目次
プロローグ
私は一人暮らしを始めて数年になる。
静かな住宅街の端にある築年数の古いアパートに住んでいるのだが、特に不満もなく、平凡な日常を送っていた。
だが、ある夜から「鈴の音」が私の生活を狂わせ始めた――。
第一章:夜中の「チリン」という音
それは梅雨が終わり、夏の湿気がまだ残るある夜のことだった。
寝苦しさを感じてふと目を覚ますと、静かな部屋の中に微かに「チリン……」という鈴の音が響いた。
「……風鈴の音か?」
一瞬そう思ったが、家には風鈴など置いていない。
不思議に思いながらも気のせいだろうと再び目を閉じたが、その音は消えるどころか、だんだんと近づいてきているように感じた。
「チリン……チリン……。」
次第に耳元で鳴っているような気がして、私は布団を頭までかぶり、震える体を必死に落ち着けようとした。
第二章:音の正体
翌朝、部屋中を確認してみたが、音の発生源となるようなものは何も見つからなかった。
「外の誰かが鳴らしてるのか?」
そう考え、夜になると窓を少し開け、音がどこから来るのか耳を澄ませた。
深夜2時を過ぎた頃、再び「チリン……」という音が聞こえてきた。
音はアパートの外、路地の方から聞こえるようだった。
私は恐る恐る窓から外を覗き込んだ――そこには、誰もいないはずの道に、小さな「鈴」がひとつ落ちていた。
第三章:鈴を拾う
不気味に思いながらも、好奇心が勝り、私はその鈴を拾いに外へ出た。
鈴は錆びついているが、手に取ると冷たく、握ると微かな音が鳴った。
「こんな古い鈴が、夜中に鳴ってたのか?」
そのまま部屋に持ち帰り、テーブルの上に置いて眠りについた。
だが、その夜、鈴の音はさらに奇妙な展開を見せた。
第四章:異世界への誘い
深夜、再び「チリン……」という音で目を覚ました。
今度は、確実に部屋の中から鳴っている。
「……鈴?」
テーブルの上に置いたはずの鈴が、部屋の中央で揺れていた。
誰かが触れているように揺れているのに、部屋には私しかいない。
怖くなった私は鈴に近づこうとすると、部屋の中の空気が突然変わった。
音が消え、代わりに目の前に「霧」が立ち込め始めたのだ。
「何だ、これ……?」
霧は鈴を中心に広がり、私は気づけば見たこともない場所に立っていた。
第五章:異世界の風景
周囲は薄暗く、足元には黒い霧が漂っている。
見上げると、空には太陽も月もない。代わりに赤い光がぼんやりと漂っているだけだった。
「ここ……どこだ?」
鈴を持ったまま辺りを歩いていると、突然「チリン……」という音が鳴った。
音の方向を見ると、遠くに何かの影が見える。
それは、人のようにも見えたが、近づくにつれてその正体が明らかになった――骨だけの人間のような姿だった。
第六章:帰れない恐怖
その「骨の人間」は、こちらをじっと見ていた。
体は動かさず、ただ音を鳴らすように手に持った鈴を揺らしている。
「何なんだ……これ?」
恐怖で足がすくむ中、その存在はゆっくりと私に向かって歩み寄ってきた。
私は慌てて逃げ出したが、鈴の音はどこまでも私を追いかけてきた。
「チリン……チリン……。」
走っても走っても音が止まらず、体力が尽きた私はその場に倒れ込んだ。
その瞬間、視界が真っ暗になり――私は元の部屋で目を覚ました。
結末:残された鈴
気づけば朝になっており、部屋には霧も何もなかった。
だが、テーブルの上には、昨夜拾った鈴が残されていた。
「夢だったのか……?」
そう思いたかったが、その鈴を見つめると、どこからともなく微かに「チリン……」という音が聞こえた気がした。
私は急いでその鈴を外に捨てたが、それ以降、夜中に耳元で鈴の音が聞こえるようになった――。
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