目次
プロローグ
フレックス勤務――それは私にとって理想的な働き方だった。
毎朝決まった時間に満員電車に乗る必要もなく、自由にスケジュールを組める。
でも、この制度が導入されてから、私はある奇妙な体験をすることになった。それは「時間」に関する恐怖の物語だ――。
第一章:フレックス勤務の始まり
私が勤めるIT企業では、今年からフレックス制度が導入された。
「コアタイム以外は、自由に働いていい。」
上司からそう言われた時、私は心の中でガッツポーズをした。
朝が苦手な私は、さっそく10時出社にスケジュールを変更し、快適な生活を送り始めた。
だが、その自由な働き方は、徐々に私を「ある恐怖」へと導いていった。
第二章:誰もいないオフィス
ある日のことだった。
その日は急ぎの案件があり、深夜まで会社で作業をしていた。
午後11時を回った頃、どうにか目処が立ったので帰ろうと思い、デスク周りを片付け始めた。
しかし、ふと気づくと、オフィスが異様に静まり返っている。
普段なら残業している同僚や清掃スタッフの物音が聞こえるはずだが、この日はそれが全くない。
「……みんな、今日は早く帰ったのか?」
違和感を覚えつつも、疲れた体を引きずって帰宅した。
第三章:翌朝の違和感
翌朝、私はいつものように10時に出社した。
だが、オフィスの雰囲気がおかしかった。
同僚たちは皆一様に疲れた顔をしていて、私に目を合わせようとしない。
「昨日、遅くまで残業してたけど、みんな早く帰ったの?」
何気なく声をかけたが、同僚の一人が不思議そうな顔でこう答えた。
「え? 昨日は誰も残業してないよ。オフィス、夜7時には誰もいなかったはずだけど……。」
「……え?」
確かに私は深夜まで仕事をしていたはずだ。それなのに、同僚たちは全員「誰もいなかった」と言う。
さらにおかしなことに、昨日私が使っていたパソコンには、作業したデータの痕跡が残っていなかった。
第四章:奇妙な勤務記録
これ以降も、私はフレックス勤務を利用して夜遅くまで作業することが増えた。
しかし、ある日、総務部から奇妙な連絡が届いた。
「勤務記録に不審な点があるんだけど……君、最近深夜に出社してる?」
「え? いいえ、基本的には昼間に出社してますけど。」
「でも、深夜2時から5時までの出勤記録が何度も残ってるんだよね。」
驚いて記録を確認すると、確かに深夜の勤務時間が記録されていた。しかし、そんな時間に出社した覚えは全くなかった。
第五章:深夜のオフィス
真相を確かめるため、私は深夜にオフィスに行ってみることにした。
夜中2時、会社に着くと、誰もいないはずのオフィスの明かりが点いていた。
恐る恐る中に入ると、自分の席に誰かが座っているのが見えた。
「……誰だ?」
その人物は、私と全く同じ姿をしていた。
第六章:もう一人の「私」
椅子に座っていた「もう一人の私」は、パソコンに向かい何かを打ち込んでいた。
「おい、何やってるんだ!」
声をかけると、その人物はゆっくりと振り返った。
その顔は、確かに私だった。だが、目の下には深い隈があり、無表情で冷たい雰囲気を漂わせていた。
「……俺が、俺の代わりに働いてるんだ。」
「な、何言ってるんだよ!」
恐怖で足がすくむ中、その「私」は淡々と続けた。
「フレックス勤務って便利だよな。好きな時間に働ける。でも……時間がずれると、おかしなことが起きるんだよ。」
そう言って笑う「私」の顔は、まるで生気を失っているかのようだった。
第七章:消えた痕跡
気づくと私は自宅のベッドで目を覚ましていた。
「……夢だったのか?」
しかし、仕事机の上には、会社のロゴが入ったメモ帳が置かれていた。
それにはこう書かれていた。
「時間を間違えるな。次は帰れない。」
結末
その日を境に、私は絶対に深夜のオフィスに行かないようにした。
フレックス勤務という便利な制度の裏に潜むものは、何か別の世界と繋がっているのかもしれない。
だから、もしあなたも深夜に仕事をすることがあるなら、くれぐれも気をつけてほしい。
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