目次
プロローグ
「働いたら負け」――そんな言葉を掲げていた友人が、ある日突然消えた。
彼の部屋はまるで最初から誰も住んでいなかったかのように綺麗に片付けられ、彼の存在を示すものは何一つ残されていなかった。
しかし、私は確かに知っている。彼は、そこにいたのだ。
第一章:ニートの友人
大学時代の友人、坂本 は、卒業後に一切働かず実家に引きこもっていた。
「仕事なんてクソだろ? 俺はこのまま親の金で生きていくんだよ。」
いつもそう言いながら、昼夜逆転の生活を送り、ゲームとアニメに没頭していた。
私が会社帰りに電話をかけると、決まって深夜でも「起きてるよ」と返ってきた。
「お前、本当にこのままでいいのか?」
「まあ、なんとかなるっしょ。そういやさ、最近ちょっと変なことがあるんだよ。」
「変なこと?」
坂本は少し声をひそめて言った。
「時々、知らない奴が俺の部屋にいる気がするんだよ。」
第二章:誰もいないはずの部屋
坂本の話によると、彼の部屋の隅に、時折「誰か」が立っているらしい。
「気のせいだろ?」
「いや、マジでいるんだよ。鏡越しに見えることもあるし、画面の隅にも映るんだ。でも、振り返ると何もいない。」
「お前、寝不足じゃないか?」
「かもな……でも、最近、そいつの影が濃くなってる気がする。」
坂本は笑いながらそう言ったが、私はなんとなく嫌な予感がした。
第三章:消えた坂本
それから数日後、坂本と連絡が取れなくなった。
最初は「またゲームに夢中になってるんだろう」と思っていたが、数週間が経っても返信がない。
心配になった私は、彼の実家を訪ねることにした。
第四章:何もない部屋
坂本の家の母親は、意外にも普通の表情でこう言った。
「坂本? うちは昔から私一人ですよ。」
「え?」
冗談かと思ったが、母親の目は真剣だった。
「息子さん、坂本○○ですよね? 俺、ずっと友達だったんですけど……。」
「そんな人、知りませんよ。」
半信半疑のまま、私は坂本の部屋へと案内された。
しかし、そこにあったのは、何もない「空き部屋」だった。
ゲーム機もPCも、あれほど積み上げられていた漫画やフィギュアもない。
「そんなはずない……!」
私は呆然と立ち尽くした。
確かに、坂本はここにいたはずだ。
第五章:唯一の痕跡
あまりの不可解さに、私は坂本とよく遊んでいたゲームを起動してみることにした。
彼のアカウントはまだ残っているはずだ。
ログインすると、坂本のIDは確かに存在していたが、プレイ履歴が「ゼロ」になっていた。
「おかしい……昨日まで普通にログインしてたのに。」
そして、アカウントのプロフィール欄に、一行だけ不気味なメッセージが書かれていた。
「ずっとここにいるよ」
第六章:存在の痕跡が消える
それ以来、私はどんなに調べても坂本の情報を見つけることができなかった。
SNSの投稿も消え、大学の卒業アルバムを見ても、そこに彼の名前はなかった。
「……こんなこと、あるはずがない。」
坂本は、本当に存在していたのだろうか?
もしかすると、彼は「部屋の隅にいる誰か」に取って代わられてしまったのかもしれない。
そして、彼自身が 「誰か」 になってしまったのかもしれない――。
結末
それ以来、私は夜中に部屋の隅を見ないようにしている。
なぜなら、ふとした瞬間に「坂本の影」が見える気がするからだ。
もしかすると、彼は今でも 「どこかの部屋」 でゲームを続けているのかもしれない。
あなたの部屋の隅にも、誰かが立っていないだろうか――?
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