ある日、ポストに奇妙な封筒が入っていた。差出人は「日本ニート管理機構」。聞いたことのない組織だった。
中を開けると、一枚の書類が入っていた。
【ニート認定通知】
あなたは正式にニートと認定されました。
つきましては、認定番号が付与され、今後の生活が管理されることとなります。
認定番号:N-4739
本制度は法的拘束力を持ちます。詳細は別紙をご確認ください。
「……は?」
私は思わず声を出した。
目次
ニート認定制度とは?
私は現在、28歳の無職だ。大学を出たものの就職せず、気づけば数年が経っていた。貯金を切り崩しながら細々と生きているが、特に法に触れるようなことをしているわけではない。
なのに、「ニート認定制度」?
同封された説明書を読むと、制度の概要が書かれていた。
本制度は、一定期間就労経験のない者を「正式なニート」として認定し、適切な管理を行うためのものです。 認定者には監視と生活指導が行われます。
認定を解除するには、指定の条件を満たす必要があります。
「……冗談だろ?」
私は半笑いで封筒を放り投げた。こんな怪しい制度、詐欺に決まっている。
しかし、それから日常が少しずつ狂い始めた。
監視されている?
次の日、アパートの郵便受けにもう一通の封筒が届いていた。
【行動確認報告】
2024年6月15日 13:23:自宅に滞在
2024年6月15日 15:45:コンビニにてカップラーメン購入
2024年6月15日 16:10:帰宅
私は戦慄した。
これは、昨日の私の行動そのものだった。誰かが見ている? でも、外出時にそれらしい人影はなかった。
「気のせいだ……」
そう思おうとしたが、翌日もまた報告書が届いた。
今度は、私がPCで見たサイトの履歴まで書かれていた。
2024年6月16日 12:45:「働きたくない」検索
2024年6月16日 13:10:「ニート生活を続けるには」検索
2024年6月16日 15:30:「監視カメラ 見つけ方」検索
「ふざけるな……!」
私は部屋の隅々まで探したが、盗聴器やカメラの類は見つからなかった。
ニート認定の本当の意味
「これはやばい……警察に相談しよう。」
私はスマホを手に取った。しかし、その瞬間、スマホの画面が真っ黒になり、文字が浮かび上がった。
認定者は通報できません。
本制度はあなたのためのものです。
「え……?」
手が震えた。これは本当に、ただの悪質な詐欺なのか?
そんな疑問を抱いていた矢先、また新たな封筒が届いた。
【最終通知】
あなたのニート認定は確定しました。
本日24時までに「行動変更」が見られない場合、次のステップへ進みます。
「次のステップ……?」
説明はなかった。ただ、直感的に「ここにいちゃいけない」と感じた。
脱出
私は急いで荷物をまとめ、夜の街へ飛び出した。
どこかのネットカフェにでも逃げ込もう――そう思った矢先、街灯の下に黒いスーツを着た男が立っているのが見えた。
彼は、私の方をじっと見つめていた。
「……嘘だろ。」
その場を走って逃げたが、交差点を曲がるたびに、同じような男が何人もこちらを見ていた。
まるで、最初から包囲されていたかのように。
朝になった
気づけば私は、自宅のベッドで目を覚ました。
「……夢?」
恐る恐る部屋を見渡すと、昨日逃げ出したはずの部屋に、荷物もそのまま残っている。
しかし、一つだけ変わっていた。
PCのモニターに、新たな通知が表示されていた。
あなたの「ニート適正度」はAランクです。
継続的な観察を行います。
解除希望の際は「働く意思」を示してください。
「これからも、見ている。」
結局、あれは何だったのか
それ以来、通知は来なくなったが、今でも監視されている気がする。
どこかで「彼ら」が見ているのではないか。私が働かない限り――。
もし、あなたのもとに「ニート認定通知」が届いたら、その時はもう手遅れかもしれない。
あなたも、すでに“監視対象”なのだから――。
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