目次
趣味としての顕微鏡観察
私は、いわゆる「普通の会社員」だ。
ただ、他人と違う趣味がひとつある――顕微鏡観察だ。
最初は水道水や野菜の繊維、ほこり、髪の毛など身近なものを観察する程度だった。
だが、見慣れたものばかりでは飽きてしまう。
次第に私は、より奇妙で珍しいものを観察することに夢中になっていった。
その日、奇妙なものを拾った
ある日の帰り道、私は小さな透明な小瓶を見つけた。
中には、薄く灰色がかった液体が入っている。
瓶のラベルは剥がれかけていて、何かの研究用サンプルにも見えた。
好奇心に勝てず、それを家に持ち帰った。
蓋を開け、液体の一滴をスライドガラスに垂らしてカバーガラスで封じ、顕微鏡にセットする。
顕微鏡越しに見えた“何か”
ピントを合わせると、奇妙なものが見えた。
微細な繊毛を持つ単細胞生物かと思ったが、明らかに違う。
形は不定形で、時折形を変えて動く。
表面には無数の小さな目のような黒い点がある。
ただ漂っているのではなく、何かを“探している”ような動きだった。
私は思わず息を呑んだ。
「これ…なんだ?」
しばらく観察していると、驚くべきことが起きた。
その生き物が、私の視線に反応したのだ。
まさか…こちらを見ている?
私は冗談半分に指をスライドガラスの近くで動かしてみた。
すると、顕微鏡越しの“生き物”が、まるで私の指を追うように動く。
次に、私が瞬きをすると、生き物もピクリと反応した。
不思議で不気味だったが、好奇心は抑えきれなかった。
ふと、奇妙な考えが浮かんだ。
「こいつ、こっちを見てるんじゃないか?」
さらに拡大してみた結果
もっと詳しく見たい衝動に駆られ、倍率をさらに上げた。
すると――
その“生き物”の表面に、無数の小さな“人の顔”のような模様が浮かび上がった。
どの顔も、驚いたような表情でこちらを凝視している。
私は背筋が凍りついた。
冷や汗が滲む。
なぜだろう、見てはいけないものを見てしまった気がした。
その後、奇妙な出来事が起き始める
顕微鏡の観察を終えてから、私は妙な違和感に苛まれ始めた。
視界の隅で何かが動いている気配。
部屋の片隅で微かなささやき声が聞こえる。
鏡を見ると、一瞬だけ“自分の顔”が別人のように見える。
そして決定的だったのは、ある夜――
ふと目が覚めると、天井に無数の小さな“目”がこちらを見下ろしていたのだ。
最後に残ったもの
怖くなった私は、あの小瓶とスライドガラスをゴミ袋に詰めて捨てた。
顕微鏡も処分した。
だが、それで終わりではなかった。
あれ以来、私の視界の片隅には、常に“何か”がいる。
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