怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

鳥の目が見ている 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

「最近、やたらと鳥が多い気がする。」

ベランダに立つと、黒い鳥たちが無数に電線に並んでいた。

同じ方向を向き、全員がじっとこちらを見ている。

目が合った瞬間、なぜか 心臓がドクンと跳ねた。

ただの鳥なのに、視線が刺さるように痛かった。

第一章:異変の始まり

その違和感に気づいたのは、普通の平日だった。

通勤途中、ふと空を見上げると、カラスがやけに多い。

街灯や電柱の上、ビルの縁にも、無数の鳥たちが並んでいる。

「……珍しいな。」

そう思いながら足を止めた。

でも、すぐに気づいた。

全ての鳥が、こちらを向いている。

偶然だと思い、歩き出す。

でも、どこに行っても鳥たちの視線が追いかけてきた。

第二章:異常な光景

数日後、さらに奇妙なことが起こった。

朝、目覚めてカーテンを開けると、

ベランダの手すりにびっしりと鳥たちが並んでいた。

20羽以上。

それも、全員が 私の顔をじっと見ている。

「……な、なんだこれ……?」

恐怖を感じ、思わず窓を閉めた。

しかし、ガラス越しでも彼らの視線は変わらなかった。

その夜、夢の中でも鳥たちの目が浮かんできた。

黒く濁った瞳、瞬きもせず、ただこちらを見つめ続けている。

第三章:消えない視線

私は次第に、家から出ることが怖くなっていった。

外に出れば、どこでも鳥たちが私を見つめている。

会社の窓から見下ろしても、ビルの屋上や街灯の上に鳥たちが並んでいる。

ある日、ついに耐えきれず、鳥たちを威嚇してみた。

大声で叫び、手を振り回した。

しかし、鳥たちは微動だにせず、ただ見ているだけ。

その時、私は気づいた。

「あれは、鳥じゃない」 と。

あれは、“何か”が鳥の姿を借りているだけ なのだ。

第四章:目を通して見る存在

不安になった私は、ネットで同じような体験がないか調べた。

すると、ある古い記事にたどり着いた。

「目を通してこちらを見る存在」 に関するオカルト記事だった。

鳥の目は、ただの「カメラ」
鳥の中には “誰か”が入り込んでいる
見つめられ続けた人間は、やがて精神が壊れる
気味が悪くなり、スマホを閉じた。

その瞬間、スマホの画面に映ったのは――

背後に立つ、無数の鳥の影だった。

第五章:部屋の中まで

それから、鳥たちは家の中にまで現れるようになった。

キッチンの棚の上
クローゼットの隅
ベッドの枕元
どこにでも、鳥が一羽、こちらを見ている。

私は次第に眠ることもできなくなった。

彼らの目が、閉じてもまぶたの裏に焼き付いている。

「もう、逃げられない。」

そう思った時、ふと気づいた。

鳥たちの目が、私の目と同じ色をしていることに。

結末:誰の目か?

ある朝、鏡を覗いた私は、思わず息を呑んだ。

自分の目が、鳥の目になっていた。

黒く、濁り、瞬き一つしない不気味な瞳。

「……ああ、そうか。」

今ならわかる。

私も、もう“こちら側”なのだ。



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