怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

心理学の実験に参加したら、取り返しのつかないことになった 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

参加した「心理学の実験」

大学時代、俺はある心理学の実験に参加したことがある。
被験者として登録すると、協力費として1回につき1万円がもらえるという話だった。

貧乏学生だった俺は、即座に申し込んだ。
「被験者募集」の掲示には「記憶と認識に関する研究」とだけ書かれていたが、深く考えずに応募した。

しかし、この実験が俺の人生を狂わせることになるとは、その時は思いもしなかった。

「記憶操作」のテスト

実験は大学の心理学研究室で行われた。
研究員の男性が対応し、淡々と説明を始めた。

「この実験では、映像を見てもらい、あなたの記憶がどのように変化するかを調べます」

俺は小さな個室に通され、画面に映るいくつかの映像を見せられた。

・公園を歩く女性
・赤い車が信号を無視して走る
・親子が楽しそうに食事する風景

何の変哲もない映像だった。

「では、今見た内容をできるだけ詳しく思い出して、こちらに記録してください」

そう言われ、俺は紙に映像の内容を書いた。
その後、短時間の休憩を挟んで、もう一度映像を見せられた。

しかし、何かがおかしい。

さっきの映像と微妙に違う部分があるのだ。
例えば、最初に見たときは青いシャツを着ていた女性が、二度目には赤いシャツを着ている。
赤い車は、今度は黒い車になっていた。

「……あれ? さっきと違う?」

俺は戸惑ったが、研究員はニヤリと笑ってこう言った。

「最初の映像を正確に記憶していましたか?」

記憶のズレと恐怖

実験はそれだけでは終わらなかった。

次に、俺は紙に書かれた記録を見せられた。

しかし、そこには俺が書いたはずの内容と微妙に異なる記録が残っていた。

「この公園の映像、あなたは『誰もいなかった』と書いていますね」

「え……? いや、女性が歩いていたはず……」

「でも、ここには『誰も映っていなかった』と書かれていますよ」

紙には、確かに俺の筆跡でそう記されている。

「いや……そんなはずは……」

俺の記憶と、紙の記録がズレている。
俺は間違いなく、最初の映像で女性を見たはずだ。
でも、俺の記録はそれを否定している。

そして、次に研究員が言った言葉で、背筋が凍った。

「佐藤さん(俺の名前)、あなたのこの実験の参加記録ですが……これが2回目なんですよ」

「え?」

「1週間前にも、同じ実験を受けています」

「そんなはずない……初めてのはず……」

だが、研究員は俺の前回の実験記録を見せてきた。
そこには、俺が確かに同じ内容の実験を受け、同じように記憶のズレを訴えている記録が残っていた。

俺はその記憶がまったくなかった。

「嘘だろ……?」

記憶を改ざんされたのか? それとも、俺は本当に忘れているのか?

そして、それ以降……

それからというもの、俺は記憶のズレを感じることが増えた。

・昨日見たはずのテレビ番組の内容が、誰も覚えていない
・友人と話した内容が、友人の記憶ではまるで違う
・鍵を置いた場所が、翌日には違う場所に移動している

些細な違いかもしれない。
だが、それが積み重なっていくと、やがて自分の記憶が信じられなくなる。

俺はあの実験以降、何度も「お前、本当にそんなこと言ったか?」と言われるようになった。

「俺の記憶は、本当に正しいのか?」

「俺は今、本当にこの現実にいるのか?」

時折、ふと考えてしまう。

もし、次に俺があの研究室に行ったら……

「佐藤さん、この実験はもう10回目ですよ」

そう言われるのではないか、と――。



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】




ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



世界の心霊写真 ~カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽

新品価格
¥3,080から
(2024/10/17 10:26時点)



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , , , , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.