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消えた秘密基地 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

大人になってから、ふと思い出した。

子供の頃、俺たちだけの秘密基地があったことを。

でも、妙なのは――

あの場所が、どこだったのか思い出せない。

第一章:秘密基地の記憶

俺が小学生だった頃、仲の良い友達数人と「秘密基地」を作った。

場所は、町外れの雑木林の奥。

誰も来ないような静かな場所で、ボロボロの廃小屋があった。

俺たちはそこを「秘密基地」と名付け、放課後になると毎日のように集まって遊んでいた。

でも、不思議なのは――その秘密基地のことを、誰も覚えていないことだ。

第二章:誰も覚えていない

先日、地元の友人と久しぶりに会ったとき、何気なく聞いてみた。

「そういえばさ、昔、秘密基地作ったよな?」

「……秘密基地?」

「ほら、雑木林の奥の廃小屋。俺たち、毎日通ってたじゃん。」

友人は、首をかしげる。

「いや、そんなの知らないけど?」

「嘘だろ? みんなで基地を作って、中で漫画読んだり、宝物を隠したりしてたじゃん。」

「いやいや、そんな記憶はないよ。」

他の友人にも聞いてみたが、誰一人として秘密基地のことを覚えていなかった。

第三章:確かに存在したはず

あまりに気になった俺は、久しぶりに町外れの雑木林へ向かった。

懐かしい道をたどって歩いていく。

しかし――

廃小屋は、どこにもなかった。

「おかしい……この辺だったはずだ。」

辺りを探し回るが、秘密基地の痕跡すらない。

ただ、草が不自然に生い茂っている一角を見つけた。

近づくと、地面に何かが埋まっているのがわかった。

掘り返してみると――

古びたノートが出てきた。

第四章:ノートに残された記録

ノートの表紙には、俺たちの名前が書かれていた。

間違いない。これは、秘密基地でみんなで使っていたノートだ。

ページをめくると、そこには子供の字でこう書かれていた。

「みんなで見つけた ひみつのばしょ
ここに ぜったいに だれも いれちゃだめ」

「にどと ここを あけては いけない」

最後のページには、震えた字でこう書かれていた。

「もし ここを また みつけたら
すぐに にげて」

その瞬間、背後でガサッと草が揺れた。

誰かが、いや――何かが、そこにいる気がした。

俺はノートを置き、その場を走って逃げた。

結末:消えた秘密基地の謎

家に帰ってから、もう一度友人たちに連絡した。

「絶対に秘密基地があったんだ! 俺、ノートを見つけたんだ!」

しかし、みんな口をそろえて言う。

「そんな場所、なかったって。」

俺は翌日、もう一度雑木林に向かった。

しかし――

昨日まであったはずの草むらが、跡形もなく消えていた。

もちろん、ノートも見つからなかった。

俺たちの秘密基地は、本当に存在していたのか?
それとも、何かが俺の記憶だけに残した“幻”だったのか?

今となっては、確かめる方法はない。

ただ――

今でも時々、夢の中で秘密基地の中にいる自分を思い出す。

誰も覚えていない、あの場所で。



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