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深夜、誰もいないはずの部屋から聞こえる猫の鳴き声 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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深夜の鳴き声

それは、僕が引っ越したばかりの部屋で起きた。

会社から帰宅するのが遅くなり、夜中の1時過ぎにようやくベッドに倒れ込んだ。

「ふぅ……やっと休める」

慣れない仕事と新生活の疲れで、すぐに眠りに落ちる……はずだった。

「……ニャァ……」

かすかに、猫の鳴き声が聞こえた。

最初は「隣の部屋のペットかな?」と思ったが、どうも様子がおかしい。

「ニャア……ニャァァ……」

壁越しではなく、部屋の中から聞こえている気がする。

布団をかぶりながら、背筋がゾクッとした。

この部屋はペット不可。もちろん、僕は猫を飼っていない。

それなのに――

「ニャァ……ニャア……」

まるで、すぐ足元に猫がいるような近さで鳴いている。

怖くなり、布団をギュッと握りしめて目をつぶった。

「気のせいだ、気のせいだ……」

やがて、いつの間にか眠ってしまった。

消えた猫の足跡

翌朝、少し落ち着いた気持ちで「やっぱり気のせいだったんだろう」と思いながら起きた。

……が、違和感があった。

「……え?」

フローリングの床に、小さな猫の足跡がついていたのだ。

ホコリっぽい床に、濡れた足で歩いたような跡がくっきりと。

「嘘だろ……?」

泥や水を踏んだ形跡はない。

しかも、足跡は途中で消えていた。

ベッドのすぐそばで、スッと途切れている。

「……まさか、ここで消えたのか?」

冗談じゃない。猫がどこにもいないのに、足跡だけ残るなんて。

ゾッとして、慌てて足跡を拭いた。

亡くなった猫のこと

それからも、夜になると猫の鳴き声がすることがあった。

小さな「ニャア……」という声が、部屋のどこからともなく聞こえる。

慣れない環境のせいかと思っていたが、どうしても気になり、不動産会社に電話してみた。

「すみません、この部屋、以前にペットを飼ってた方とかいました?」

少しの沈黙の後、担当者がこう答えた。

「ええ、以前住んでいた方が、黒猫を飼っていたそうです」

「黒猫……?」

「でも、猫は数年前に病気で亡くなってしまったと聞いています。その後、住人も引っ越されましたね」

……それだ。

前の住人が飼っていた猫の霊が、この部屋にまだいるのかもしれない。

最後の鳴き声

それからも、猫の鳴き声は時折聞こえていたが、僕は不思議と怖くなくなっていた。

「もしかしたら、この猫はずっと寂しかったのかもしれない」

そう思うと、自然と優しく接しようと思えた。

夜、鳴き声が聞こえるときは、「おやすみ、いい夢見ろよ」と声をかけるようになった。

それが1ヶ月ほど続いたある日――

「ニャア……」

不思議なほど優しい鳴き声が聞こえた。

まるで、「ありがとう」と言っているような。

そして、それ以来――

猫の鳴き声は、ぱったりと聞こえなくなった。

きっと、ようやく旅立ったのだろう。

「もう寂しくないといいな」

僕はそう思いながら、静かな部屋で眠りについた。



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