目次
夢の中の白い空間
ある日、俺は奇妙な夢を見た。
真っ白な空間 に立っている。
床も壁も天井もなく、ただ果てしなく白い。
何もない。ただ、俺だけがそこにいる。
「……ここはどこだ?」
声に出してみるが、反響すらしない。
足元を見ても、自分の影がない。
それなのに、確かにここにいる感覚だけはある。
ただの夢だろう、そう思っていた。
しかし、これが始まりだった。
何度も繰り返す夢
その日以来、毎晩同じ夢を見るようになった。
最初は気にもしていなかった。
だが、1週間、2週間と続くうちに、異変に気づく。
夢の中での時間が、日に日に長くなっているのだ。
目を覚まして時計を見ると、ほんの数時間しか経っていないのに、夢の中では何日も経ったような感覚が残る。
さらに不気味なのは——
夢から目覚めた後、白い空間で過ごした記憶が鮮明に残っていることだ。
普通、夢はすぐに忘れるものだろう?
それなのに、あの空間の静寂、息苦しさ、時間の流れが現実と変わらないほどリアルに感じる。
変化する白い空間
ある晩、いつものように夢の中で目を覚ました。
相変わらず、どこまでも続く白い空間。
しかし、その日は違った。
遠くの方に、人影が見えたのだ。
俺と同じように、この白い空間に迷い込んだ誰かだろうか?
「おーい!」
思わず声をかける。
人影はピクリとも動かない。
しかし、気づけば少しずつこちらへ近づいている気がした。
ぞわり、と背筋が凍る。
俺は、その人影を見てはいけない気がした。
逃げられない夢
翌日も、翌々日も、俺は同じ夢を見た。
そして毎回、人影は確実に近づいてきていた。
ある夜、ついにそれがハッキリと見えた。
顔がない。
いや、顔はあるはずなのに、思い出せない。
見た瞬間に、記憶が抜け落ちるような感覚がした。
「……帰らなきゃ」
このままでは、夢から戻れなくなる気がした。
必死に目を覚まそうとするが、身体が動かない。
白い空間の中で、俺はただ立ち尽くすしかなかった。
夢から戻れなくなる日
それからも、俺は毎晩白い空間に閉じ込められた。
そして——
ついに、夢から覚めることができなくなった。
目を覚ましても、現実ではなく白い空間が続く。
「……おかしい」
もしかして、俺はすでに目を覚ましているのではないか?
ここが本当の世界で、現実だと思っていた日常こそが夢だったのではないか?
そんな考えが頭をよぎる。
そして——
遠くの方で、また"それ"が近づいてきているのが見えた。
今度は、もう逃げられない。
「……戻れない……」
最後にそう呟いた瞬間、すべてが真っ白に塗りつぶされた。
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