目次
不可解な弁当
会社勤めをしている俺は、毎朝コンビニで弁当を買い、昼休みにそれを食べるのが日課だった。
しかし、ある日、デスクに座って弁当を開けようとした瞬間、違和感を覚えた。
「……ん?」
買った覚えのない弁当が置かれている。
俺は確かに、唐揚げ弁当を買ったはずだ。
だが、目の前にあるのは、手作りのような弁当だった。
白米に、卵焼き、焼き魚、ほうれん草のお浸し……どこか懐かしさを感じる内容だ。
「誰かのと間違えたか?」
同僚に聞いても、誰も知らないという。
「まぁ……せっかくだし食べるか」
疑問に思いながらも、一口食べてみる。
――懐かしい味だった。
どこかで食べたことがある気がする。
ただ、どうしても思い出せない。
その日は気にせず、その弁当を食べた。
だが、翌日――
繰り返される奇妙な出来事
次の日、またしても俺のデスクには、手作りの弁当が置かれていた。
「……なんだよ、これ」
同じように白米に焼き魚、卵焼き。
昨日とまったく同じメニューだった。
「また誰かが間違えて置いたのか?」
しかし、誰に聞いても「知らない」としか言わない。
気味が悪くなり、その日は食べずに捨てることにした。
ゴミ箱に弁当を放り込み、午後の仕事に戻る。
しかし、夕方、ふとゴミ箱を覗いた瞬間――
「……ない?」
捨てたはずの弁当が消えていた。
思い出した記憶
その晩、俺は久しぶりに夢を見た。
夢の中で、俺はまだ小学生だった。
目の前には、亡くなったはずの母がいる。
「ちゃんと食べなきゃだめよ」
母は優しく微笑みながら、俺に弁当を差し出した。
それは、ここ数日俺のデスクに置かれていたものと同じ内容だった。
――そうだ。
この弁当は、母が生前よく作ってくれていた弁当だった。
俺は、母の死後、寂しさから手作りの弁当を避けるようになり、ずっとコンビニ弁当ばかり食べていた。
しかし、なぜ今になって……?
目を覚ますと、妙に嫌な予感がした。
そして、会社に行き、デスクを確認すると――
そこには、やはり弁当が置かれていた。
だが、今までと違ったのは――
弁当箱の蓋に、ひとつの手紙が添えられていたことだった。
最後の弁当
震える手で手紙を開く。
そこには、母の筆跡で、こう書かれていた。
「これが最後のお弁当です。もう来れません。お元気で。」
心臓が凍りつくような感覚に襲われた。
その瞬間、オフィスの電話が鳴った。
同僚が受話器を取り、俺に向かって言った。
「お前の実家からだって」
震える手で電話を取ると、父の声が聞こえた。
「……今朝、仏壇の母さんの遺影が、何もしてないのに倒れたんだ」
電話を切った後、俺は弁当を開いた。
そこには、いつもと同じ卵焼き、焼き魚、白米が詰まっていた。
しかし、もう二度と弁当が置かれることはなかった。
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