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剥がしてはいけないお札2 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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会社の同僚・鈴木が、中古の一軒家を購入した。

「めちゃくちゃ安かったんだよ!」

そう言って嬉しそうに話していたが、私はなんとなく嫌な予感がした。

理由は、その家の価格だった。

都内の住宅地で、築20年ほどの戸建てが相場の半額以下。

いくらなんでも安すぎる。

「……事故物件とかじゃないのか?」

冗談半分で聞くと、鈴木は笑いながら「ちゃんと調べたよ」と言った。

「何も問題なかったし、普通に綺麗な家だったよ。ただ――」

彼は少し困ったように続けた。

「家のあちこちに、変なお札が貼ってあったんだよな。」

お札だらけの家

鈴木によると、家の壁や柱、押し入れの中、天井裏、さらにはトイレのタンクの裏など、家中に無数のお札が貼られていたという。

「ちょっと気味悪いけど、まあ古い家だし、前の持ち主が信心深かったんだろうな。」

彼はそう言って気にしていない様子だったが、私は嫌な気がした。

「……そのお札、どうしたんだ?」

「いや、さすがに気持ち悪いから全部剥がしたよ。」

私は思わず息をのんだ。

「剥がした……?」

「ああ、そんなの貼ってたら落ち着かないしさ。」

鈴木は軽く笑ったが、私は何かが背筋をぞわりと這い上がる感覚を覚えた。

お札は“何かを封じるため”に貼られているものだ。

それを、全部剥がした……?

異変の始まり

数日後、鈴木から妙な電話がかかってきた。

「なあ、お前の家、夜中に変な音とかしない?」

「は? しないけど……何かあったのか?」

鈴木は妙に怯えた声で話し始めた。

「最近、夜中になると天井の隅からカリカリと爪を立てるような音がするんだ。」

「ネズミとかじゃないのか?」

「それならいいんだけど……昨日は、その音が寝室の壁の中から聞こえたんだよ。」

壁の中?

「しかも、寝てるとさ……誰かに見られてる気がするんだ。」

私はその言葉に戦慄した。

「……お前、お札剥がしたんだよな?」

「……ああ。」

「全部?」

「……たぶん。」

取り戻せないもの

それから数日後、鈴木が会社を休んだ。

心配になって連絡を入れると、電話越しの彼の声はひどく怯えていた。

「……もう無理だ。家にいるとダメだ……。」

「どういうことだ?」

「夜中、耳元でさ……誰かが囁いたんだよ。」

「なんて?」

鈴木は震えた声で答えた。

「『お前が出て行け』って……』」

私は言葉を失った。

「……お札、まだ持ってるか?」

「……全部捨てた。」

「マズい……。」

私はすぐに鈴木に家を出るよう言った。

だが、その後――彼は失踪した。

鈴木の家の異変

警察の捜査では、鈴木が行方不明になった形跡はなかった。

部屋には財布やスマホがそのまま置かれ、靴も揃えられたまま。

まるで、彼だけが忽然と消えたようだった。

そして――

彼の家を訪れた警察が、あるものを見つけた。

家の壁一面に、新しいお札が貼られていたのだ。

もちろん、誰が貼ったのかはわからない。

最後の電話

数ヶ月後、私は未登録の番号から着信を受けた。

「……もしもし?」

すると、聞き覚えのある声がした。

「……助けてくれ。」

鈴木の声だった。

「鈴木!? お前どこにいるんだ!?」

だが、彼の声は小さく、ノイズが混じっていた。

「戻れない……家の……ずっと……」

「どこにいるんだ!?」

その瞬間――

「お前も来い。」

そう囁く声とともに、電話は切れた。

私はすぐに折り返したが、その番号は存在しなかった。

それ以来、鈴木の行方は、誰にもわかっていない。



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