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火事の跡に残るもの 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

俺の住んでいる町の外れには、焼け跡だけが残った空き地 がある。

何十年も前に火事で全焼したらしく、今では雑草が生い茂り、黒ずんだ瓦礫が点々と転がっているだけだ。

特に柵があるわけでもなく、子供の頃はよく肝試しとして友達と入り込んでいた。

大人になった今では、そんな場所に興味を持つこともなかった。

しかし――

ある日、その火事の跡で奇妙なものを見つけてしまった。

第一章:焦げ跡に浮かぶもの

休日、散歩の途中で何気なくその焼け跡の前を通った。

久しぶりに覗いてみると、相変わらずの荒れ果てた風景だったが――

ふと、地面の一角に妙な模様がある ことに気づいた。

近づいてみると、それは黒い焦げ跡 だった。

ただの煤ではない。

よく見ると、人の形をしていた。

大の字になった影のように、地面に黒く焼き付いている。

「……なんだこれ?」

奇妙な不気味さを感じつつも、俺はその場を後にした。

だが、その日の夜、ある夢を見た。

第二章:炎の中の人影

夢の中で、俺はあの焼け跡に立っていた。

辺りは赤黒い煙に包まれ、目の前で火の手が上がっている。

燃え盛る建物の中に、何かが動いていた。

いや――

誰かが、こちらを見ていた。

シルエットだけが見えるほどの強い炎の光。

それは、焦げ跡と同じ形の人影だった。

じっと、俺を見つめている。

その瞬間、夢の中の俺は気づいた。

「あれは、俺だ――」

第三章:跡地の異変

翌朝、汗だくになって目を覚ました。

嫌な夢だった。

しかし、どうにも気になってしまい、俺は再び火事の跡地へ向かった。

昨日の焦げ跡を確認すると――

「……え?」

そこには、もう何もなかった。

昨日見たはずの黒い人影の形が、完全に消えている。

それどころか、その場所の地面だけが妙に綺麗になっていた。

まるで、何かがそこから立ち上がったかのように――

第四章:写真に写ったもの

違和感を覚えつつも、証拠を残しておこうと思い、スマホで跡地の写真を撮った。

しかし、画面を確認した瞬間、血の気が引いた。

そこには――

真っ黒に焦げた俺の姿が、立っていた。

だが、それは俺が撮影した角度とは違う方向から見た「俺」 だった。

まるで、誰かが俺の背後から撮影したかのように。

その瞬間、耳元で微かに囁き声が聞こえた。

「代わってくれるのか?」

結末:火事の跡に残るもの

ゾッとしてスマホを落とし、慌てて跡地を後にした。

それ以来、俺はその場所には近づいていない。

ただ――

たまに夢を見る。

炎の中で、誰かが俺に手を伸ばしてくる夢を。

あの跡地には、本当に何かが残っていたのかもしれない。

そして、それは誰かを代わりに引き込もうとしているのかもしれない――。



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