目次
引っ越し先で見つけた“それ”
俺が新しいアパートに引っ越してきたのは、去年の秋だった。
築年数は古いが、家賃が相場より安く、職場にも近かった。
最初の数週間は特に何もなかった。
しかし、ある日、部屋の押し入れを整理していると、奥の天井に小さな木箱が貼り付けられているのを見つけた。
古びた箱には、何枚ものお札がびっしりと貼られていた。
それだけならまだしも――お札の隙間から長い黒髪がはみ出していたのだ。
ゾッとした俺は、慌てて押し入れのふすまを閉めた。
だが、それ以来、俺の身の回りで奇妙なことが起こるようになった。
夜中の“髪”
それは、引っ越してきてから1か月ほど経った頃だった。
夜、ベッドに横になっていると、どこからともなく髪の毛がこすれるような音が聞こえてきた。
サラサラ……サラサラ……
部屋の中で、誰かが髪を梳かしているような音。
しかし、俺は一人暮らしだ。
布団を頭からかぶり、気のせいだと言い聞かせたが、次の日も、またその次の日も、その音は続いた。
そしてある日、とうとう異変が目に見える形で現れた。
朝、目を覚ますと、枕元に大量の黒髪が散らばっていたのだ。
俺の髪ではない。俺の髪は短いし、これは明らかに女の髪だった。
お札の剥がれた木箱
もう我慢できなくなった俺は、押し入れを開けた。
あの木箱を確認すると――貼られていたお札のうち、一枚だけが剥がれかけている。
そして、剥がれた隙間から、黒い髪がさらに長く垂れ下がっていた。
俺は完全にパニックになり、不動産会社に電話した。
「押し入れの奥に、変な木箱があるんですけど……」
すると、電話口の担当者が急に黙り込んだ。
「すぐに伺います」
数時間後、不動産会社の担当者と大家が訪れ、俺は押し入れの木箱を見せた。
すると、大家は青ざめた顔で言った。
「この部屋、以前の住人がね……ある日突然いなくなったんですよ」
「それで、部屋を清掃していたら、天井裏からこの箱が出てきた。でも、開けてはいけないものだとお寺の住職に言われて、お札を貼って封じたんです」
すべてが終わった後
結局、俺はすぐにこの部屋を引き払った。
後日、あの部屋は専門家によってお祓いされたらしいが、大家はその後のことを何も語らなかった。
ただ、一つだけ確かなのは――
あの部屋を出てから、髪の毛の音も、枕元の黒髪もなくなったということだ。
もう二度と、あんな部屋には住みたくない。
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