怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

夜の公園にひとり 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

仕事帰り、ふとした気まぐれで近所の公園に寄った。

夜の公園には誰もいない。

ベンチに腰掛け、缶コーヒーを開ける。

「静かで落ち着くな……。」

そう思ったのも束の間――

俺はすぐに、ここに一人ではなかった ことに気づいた。

第一章:誰もいないはずなのに

しばらくすると、公園の奥から足音 が聞こえた。

ザッ……ザッ……

ゆっくりと、砂利を踏む音。

俺は視線を向けたが、そこには誰もいない。

「気のせいか?」

そう思いながら缶コーヒーを飲む。

しかし――

足音は確実にこちらへ近づいてきている。

ザッ……ザッ……

俺の背後まで来たはずなのに、やはり誰もいない。

背筋がゾクッとした。

「やばい……ここ、まずいかもしれない。」

第二章:増えていく気配

立ち上がろうとした瞬間――

公園のブランコがギィ……ギィ…… と揺れ始めた。

誰も座っていないのに。

「風か……?」

そう思ったが、無風だった。

次の瞬間、ブランコの揺れがぴたりと止まる。

そして――

公園のベンチに誰かが座る音 が聞こえた。

ギシ……

隣のベンチに、何かがいる。

第三章:話しかけてはいけないもの

心臓がバクバクと鳴る。

「……見ちゃダメだ。」

そう思いながら、俺はゆっくりと立ち上がった。

しかし――

「こんな時間に、一人ですか?」

背後から、かすれた声がした。

低く、湿った声。

俺は全身が凍りつくのを感じた。

これは、人の声じゃない。

振り向いたら、いけない気がした。

第四章:公園を出るはずが……

俺は無視して、公園を出ようと歩き始めた。

ザッ……ザッ……

今度は、俺の足音に重なるように 別の足音が聞こえた。

確実に、ついてきている。

早歩きになる。

ザッ……ザッ……ザッ……

足音も、それに合わせて速くなる。

そして、公園の出口が見えた瞬間――

耳元で囁かれた。

「また、ひとりで来てくださいね。」

結末:一人じゃなかった

俺はそのまま公園を飛び出した。

自宅に帰り、何とか落ち着こうとした。

しかし――

翌朝、ふとポケットに手を入れると、見覚えのないものが入っていた。

それは、公園の砂 だった。

まるで、誰かが俺のポケットに入れたかのように。

あの夜、公園にいたのは、俺ひとりじゃなかった。

それだけは、確かだった。



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