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霊子降臨――呼んではいけない存在 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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霊子降臨とは?

「霊子降臨って知ってる?」

飲み会の帰り道、大学時代の友人・斉藤がふとそんなことを言い出した。

「……何それ?」

「霊を呼ぶ方法の一つらしいんだけどさ、普通の降霊術と違って、いわゆる ‘霊子’ っていう霊の素みたいなものを具現化させるって話なんだよ」

「霊の素?」

「うん。つまり、完全な ‘霊’ になる前のもの。それを降ろすことで、現世に影響を与えるんだって」

なんだか嫌な予感がした。

「……で? まさか試したわけじゃないよな?」

「いや、試したっていうか、見たんだよ。それが降りる瞬間を」

その一言で、空気が変わった。

霊子が降りた夜

斉藤が語り始めたのは、数週間前の出来事だった。

知人の紹介でとある心霊スポットに行ったらしい。そこは廃墟になった古い神社で、かつて ‘霊子降臨’ を行っていた場所だと言われている。

「そんでさ、案内してくれたやつが、急に ‘やってみよう’ って言い出したんだよ」

「おいおい……」

「俺も最初は冗談だと思ったんだけど、そいつ、ちゃんと手順を知っててさ。祭壇の前で、古い呪文みたいなのを唱え始めたんだよ」

冗談じゃない。そんなものを試すなんて正気の沙汰じゃない。

「そしたら、急に周りの空気が変わったんだよ。息苦しくなって、俺らがいた場所だけ、まるで水の中にいるみたいに重くなった」

「……で?」

「しばらくすると、視界の端になんか ‘揺らめくもの’ が見えたんだ」

斉藤は言葉を選ぶように、慎重に続けた。

「それは、形が定まってないモヤみたいなやつで……でも、目だけがはっきりしてた。赤くて、じっと俺らを見てる」

連れてきてしまったもの

その ‘何か’ は、徐々に形を成していったという。

「最初は影みたいだった。でも、だんだん ‘ヒト’ に近づいていった。……いや、違うな。 ‘ヒト’ じゃなくて ‘何か’ になろうとしてたんだ」

「そいつ、そばにいたやつの背中に張り付いたんだよ」

「……そいつ、今どうなった?」

俺の問いに、斉藤は一瞬口を閉ざした。

そして、ポツリとこう言った。

「……おかしくなった」

「どういうことだ?」

「そいつ、あの日以来 ‘人間じゃなくなってる’ んだよ」

「は?」

「会話が成立しない。まるで ‘別のもの’ になったみたいに、俺らのことを ‘認識’ できなくなった。家族でさえも」

「まさか……」

「医者にも診せた。でも、異常なし。でも、 ‘何か’ がそいつの中に入り込んでる。……それが、 ‘霊子’ だったんじゃないかって、思うんだよ」

それが映った写真

斉藤はスマホを取り出し、俺に写真を見せた。

そこには、廃神社の祭壇の前に立つ斉藤たち数人が写っていた。

……その中に、一人だけ ‘おかしい’ やつがいた。

顔がぼやけている。いや、それだけじゃない。

顔の ‘中’ に、もう一つ別の ‘顔’ があった。

「……これ、何だよ?」

「わからない。でも、これが ‘霊子降臨’ ってやつなんだと思う」

写真の ‘彼’ は、笑っているようにも見えた。だが、それが彼自身の笑顔なのかどうか……それは、誰にもわからなかった。



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