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事故物件のお札 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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「家賃が相場より3万円も安いんです!」

不動産会社の担当者は、少し申し訳なさそうに笑いながらそう言った。

「まあ、その……いわゆる“訳あり物件”というやつでして。」

事故物件。

そう聞いて、俺は少し迷った。

けれど、大学進学を機に引っ越しを決めていた俺にとって、破格の安さは魅力的だった。

「大丈夫です! そういうの、あまり気にしないんで。」

そう答えると、担当者はホッとしたような顔をして契約書を差し出した。

そして、新居の鍵を受け取った俺は、その日のうちに引っ越しを済ませた。

部屋に貼られたお札

ワンルームのシンプルな部屋。

日当たりも悪くないし、コンビニも近い。

「事故物件とはいえ、意外と快適そうだな。」

そう思って部屋を見渡したとき、異変に気がついた。

クローゼットの扉の内側に、古びたお札が貼られていたのだ。

「……なんだ、これ?」

黄ばんでボロボロになった紙に、達筆な筆文字が書かれている。

「前の住人が貼ったのか?」

気になったが、あまり深く考えず、そのままにしておくことにした。

お札の異変

引っ越して数日経った頃、奇妙なことが起こり始めた。

ある日、部屋に帰ると――

クローゼットのお札が剥がれていた。

「……え?」

昨日まで、しっかり貼りついていたはずのお札が、床に落ちていた。

「湿気か何かで剥がれたのか?」

そう思いながら、お札を拾い上げると――

裏側に、何かが書かれていることに気づいた。

黒い筆で書かれた文字。

「開けてはならない」

「……え?」

ゾクリと背筋が寒くなった。

「開けてはならない」?

何を?

まさか、クローゼットの扉のことか?

クローゼットの中

好奇心が勝ってしまった俺は、クローゼットの扉に手をかけた。

ミシ……と古びた蝶番が軋む。

ゆっくりと扉を開けると――

奥の壁にも、びっしりとお札が貼られていた。

数十枚のお札が、乱雑に重ねられるように貼られている。

中には、新しいものも混じっていた。

「……これ、誰が貼ったんだ?」

おそらく、過去の住人が何代にもわたって貼り続けていたのだろう。

その時――

クローゼットの奥から、カサリと音がした。

「……?」

何かがいるのか?

じっと耳を澄ます。

その瞬間――

お札の間から、“何かの目”がこちらを見ていた。

元に戻されたお札

「うわっ!」

反射的にクローゼットの扉を閉めた。

あれは何だったのか?

確認する勇気はなかった。

その日は、電気をつけたまま、布団をかぶって震えながら眠った。

そして翌朝――

恐る恐るクローゼットを開けると、驚くべきことが起きていた。

お札が、元通りになっていた。

昨日、俺が剥がしてしまったお札が、何事もなかったかのように貼られている。

まるで、最初から何もなかったかのように。

「……この部屋、やばいかもしれない。」

俺はすぐに荷物をまとめ、その部屋を出た。

管理人の言葉

後日、不動産会社に電話をして部屋を解約したいと伝えた。

すると、担当者が少し困ったように言った。

「やっぱり、出ますか……。」

「やっぱり?」

「実は、あの部屋に住んだ人は、みんなすぐに退去するんです。」

「……何か知ってるんですか?」

「詳しくは私も知らないんですが、あの部屋、昔からお札が貼られていたみたいでして。」

「何のために?」

「さあ……でも、ある人が言ってましたよ。」

『あのお札は、守るためのものじゃない。閉じ込めるためのものだ』ってね。」

その言葉を聞いた瞬間、俺は二度とあの部屋には近づかないと誓った。



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