目次
廃村の発見
俺と友人のユウスケは、休みを利用してドライブを楽しんでいた。
目的もなく山道を走りながら、適当に道を選んで進んでいると、やがて舗装されていない細い道に入った。
「……なんか、この道、地図に載ってなくね?」
ユウスケがスマホの地図を確認しながらつぶやく。
たしかに、ナビには表示されていない。
興味をそそられ、そのまま進むと、道の先にひっそりとした集落が現れた。
だが、すぐに異様な光景に気づいた。
村の家々すべてに、お札がびっしりと貼られている。
古びた木造の家々の壁、窓、扉に至るまで、何重にも重ねられたお札が貼られていた。
「……なんだよ、これ……」
嫌な予感がしたが、ユウスケが先に車を降りた。
「ちょっと見てみようぜ」
俺も仕方なく後に続いた。
朽ち果てた家々
村には人の気配がなかった。
家の前には古びた道祖神や石灯籠が並んでいるが、すべて倒れているか砕けている。
「この村、廃村になってから相当経ってるな……」
俺は壁に貼られたお札の一枚に手を伸ばし、かすれた文字を確認した。
そこにはこう書かれていた。
「封印」
「封印? 何を?」
「もしかして、ここヤバい場所なんじゃね?」
ユウスケがそう言った瞬間だった。
ザザ……ザザ……
どこからか、足を引きずるような音が聞こえてきた。
村の奥へ
俺たちは無言で顔を見合わせ、音のする方をそっと覗いた。
村の奥の方にある最も大きな屋敷の前に、何かがいた。
黒ずんだボロ布のようなものをまとった人影だった。
「……村の人?」
ありえない。
この村は明らかに長い間、人が住んでいないはずだ。
ユウスケが震える声で言った。
「……逃げねぇ?」
俺はゆっくりと後ずさろうとした。
その瞬間——
ズズッ……ズズッ……
ソレがこちらを向いた。
顔がなかった。
あるべき場所には、ただ黒い穴のような空間が広がっていた。
俺たちは一目散に車に向かって走った。
背後で、ズズ……ズズ……と何かが近づいてくる音がする。
車のドアを乱暴に開けて飛び乗り、エンジンをかけた。
しかし、車が動かない。
「なんでだよッ!!」
ユウスケがハンドルを叩く。
そのとき、フロントガラスに何かがペタリと張り付いた。
——お札だった。
しかも、それは一枚ではない。
まるで見えない手が貼り付けているかのように、次々とお札が増えていく。
「やめろ……やめろぉぉぉ!!」
俺たちは叫んだ。
視界が完全に塞がれた瞬間——
目覚め
——気がつくと、俺たちは元の山道にいた。
「……え?」
車を普通に運転していた。
「さっきの……なんだったんだ?」
ユウスケも顔面蒼白で呟く。
急いで地図を確認すると、あの村のあった場所には何もない。
「……嘘だろ?」
何も言えないまま、俺たちはそのまま車を走らせ、元の道へ戻った。
その後
後日、俺は好奇心に駆られ、古い郷土資料を調べた。
すると、かつて○○村という集落が存在していたことがわかった。
しかし、その村は数十年前に「村ごと封印された」と記録されていた。
詳細は不明だったが、噂では——
村の者たちが「何か」を崇拝し、次第に狂っていった。
そして、村全体が廃村となった後、何者かによって村は封印されたのだという。
「お札は、村を守るためじゃなく、何かを閉じ込めるためのものだったんだ……」
あの時、もしお札を剥がしていたら——
俺たちは、今ここにいなかったのかもしれない。
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