怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

ヘッドライトに浮かび上がる影 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

山道のドライブ

それは俺が大学時代、深夜のドライブにハマっていた頃の話だ。

当時、俺は夜の峠道を走るのが好きで、暇さえあれば車を出していた。
人気のない山道をライトだけを頼りに走るのは、どこかスリルがあって楽しかったんだ。

その日も、いつものように友人のKと二人で車を走らせていた。
時刻は夜の11時を回った頃。

「なんか静かすぎねえ?」

助手席のKがそう言った。

確かに、いつもならたまに対向車が来るのに、今日はまったくすれ違わない。
ヘッドライトの光だけが、暗闇の中で道を照らしている。

そんな時だった。

カーブを曲がった瞬間――

ヘッドライトに、白い影が浮かび上がった。

道の真ん中に立つもの

「……なんだ、あれ?」

Kが小声でつぶやく。

ヘッドライトの先、道の真ん中に白い服を着た人影が立っていた。
髪が長く、顔は見えない。

「あぶねっ!」

俺は急ブレーキを踏み、寸前で止まった。

クラクションを鳴らしても、そいつは動かない。
まるでこちらを無視するかのように、微動だにしない。

「どうする?」

Kが震えた声で聞く。

俺は咄嗟にライトをハイビームにした。
その瞬間――

人影はスッ……と消えた。

まるで霧が晴れるように、跡形もなく。

背後に映るもの

「……見間違いか?」

Kと顔を見合わせながら、俺はそろそろとアクセルを踏んだ。

慎重に車を進め、問題の場所を通過する。
だが、そこには何もない。

「怖えぇ……帰ろうぜ」

Kがそう言ったとき、バックミラーに何かが映った。

後部座席に、さっきの白い影が座っている。

「!!!」

Kと俺は絶叫した。

俺はハンドルを切り、アクセルを思い切り踏み込んだ。
Kは震えながら、スマホを取り出して後ろを撮影した。

だが、スマホの画面には何も映っていなかった。

それでも、俺たちは恐怖でいっぱいだった。

ヘッドライトの跡

必死に山道を抜け、ようやく街の明かりが見える場所まで戻ってきた。
そこでやっと車を止め、Kと深呼吸する。

「……やべぇよ、マジで」

俺はハンドルを握る手が震えているのを感じながら、何度もうなずいた。

その時、Kが言った。

「お前の車……後ろ、見てみろよ」

俺は嫌な予感を抱きながら、そっと車の後ろへ回った。

そして、そこで見たものに息をのんだ。

後部座席の窓ガラスに、ヘッドライトの光を浴びたような白い手形が残っていた。

それは、俺たちのものではない。
誰かが、確かにそこにいたのだ。

その後の話

俺たちはそのまま家に帰り、Kと酒を飲みながら夜を明かした。
あの手形の話は、誰にも言わなかった。

それから何年か経ち、俺はある噂を耳にした。

「あの山道では、昔、白い服を着た女性が事故で亡くなったらしい」

「彼女は今でも、深夜に走る車のヘッドライトに浮かび上がることがあるらしい」

……そういえば、俺たちが見たあの影、顔が見えなかったな。
もし、ヘッドライトで照らさずにそのまま近づいていたら――

俺たちは、どうなっていたんだろう。



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】




ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



世界の心霊写真 ~カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽

新品価格
¥3,080から
(2024/10/17 10:26時点)



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , , , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.