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「怨霊退散の札」──除霊のはずが、恐怖の始まりだった 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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怪奇現象が始まった家

都内で一人暮らしをしている俺は、数ヶ月前から不可解な現象に悩まされていた。

最初は、深夜になると壁の向こうから聞こえるノック音。
だが、その部屋は隣接する建物がなく、完全に外壁になっている。

次第に、それはささやき声へと変わった。

「……かえせ……」

一人暮らしの部屋で、誰もいないはずなのに聞こえる声。

背筋が凍るような感覚に耐えきれず、俺は除霊のために神社へ相談に行った。

「怨霊退散」の札

神社の宮司は、俺の話を聞くと深刻な表情になり、
「これはただの霊ではない。かなり強い怨念を持った存在が憑いている」と言った。

「これを部屋に貼りなさい」

そう言って渡されたのが、一枚の「怨霊退散」の札だった。 墨で力強く書かれたその札は、触るだけでひんやりとした感覚があった。

「この札を玄関と部屋の四隅に貼れば、大丈夫でしょう」

俺は言われた通りに、自宅の四隅と玄関に札を貼った。

逆効果だった札

その夜、俺は安心して眠りについた。

しかし、午前2時。

バキッ……

何かが壁の向こう側で割れるような音がした。

驚いて飛び起きると、天井から黒い染みが広がっていた。
そして、どこからともなく、あの声がする。

「……かえせ……」

今までの囁き声とは違う。
はっきりと、耳元で聞こえる。

震える手でスマホを手に取り、札を貼った場所を見回ると、異変に気づいた。

「怨霊退散」の札が、すべて真っ黒に変色している。

まるで、何かが札を内側から焦がしたようだった。

札が「封じ込めるもの」だったとしたら

恐怖に駆られ、俺は慌てて神社へ連絡した。

宮司がすぐに駆けつけ、部屋を見た瞬間、顔色を変えた。

「……これはまずい」

「どういうことですか⁉ 札を貼ってから悪化しました!」

宮司は深くため息をつき、こう言った。

「怨霊退散の札は、怨霊を封じ込めるためのものだ。
だが、もともとこの部屋には何か別の札が貼られていたはず……」

俺は思い出した。

数週間前、大掃除をしたときに、クローゼットの中にあった古びたお札を剥がして捨てたことを。

「まさか……あのお札って……?」

宮司は厳しい顔で頷いた。

「おそらく、それはすでに存在していた怨霊を封じる札だった。
それを剥がしたせいで、霊が解き放たれてしまったんだ。
そして今、お前が貼った札は、怨霊を部屋の中に閉じ込める役割を果たしてしまっている」

つまり、俺は自ら怨霊を部屋に閉じ込めたのだ。

そして、今も…

宮司はすぐに本格的な祈祷を行い、札をすべて剥がし、新たな封印を施した。

「あとは様子を見て、何か異変があればすぐに連絡しろ」

その日以降、ノック音も囁き声もピタリと止んだ。

だが、一つだけ、おかしなことがある。

怨霊退散の札を貼っていた玄関の壁に、今でも黒い手形が残っている。

まるで、誰かが必死に外へ出ようとしていたかのように。

そして、夜になると、ふとした瞬間に思い出してしまう。

あの声を──

「……かえせ……」



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